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とどめを刺さず、もてあそべ。そのモヤモヤは上野千鶴子のひとことで解決

文: 上野 千鶴子

『上野千鶴子のサバイバル語録』 (上野千鶴子 著)

日本におけるジェンダー研究の第一人者である上野千鶴子さん。本書は過去の著作群から上野さんのエッセンスが詰まった140の「金言」を選び抜きました。毀誉褒貶を生き抜く著者初の「語録」は、仕事や家族、結婚や老後など日々まとわりつく不安を乗り切るヒントにあふれています。

『上野千鶴子のサバイバル語録』(上野千鶴子)

夫を人として尊敬できるか

(編集部注・夫を)男として尊敬できなくてもOK、でも人間として尊敬できなければ、それが関係の終わりです。ひとを見る目がなかったと己を呪い、すっぱり捨てましょう。

 人生を共にしている人を尊敬できれば、セックスがなくても性欲がなくてもやってける。でも、尊敬がなくなったらアウトです。

 女は、結婚したあとも、確実に成長している。家事、育児を抱えて奮闘していますから。けれども、そんな妻の成長に夫がなかなか追いつかないのが問題なんです。20代で結婚したとして、そのときはいい男と思っても、何十年もたつうちに、尊敬できなくなる。本当は苦楽を共に成長しあうという関係をつくらないといけないのに、どこかでお互いが手を離すから。夫ははなから放棄してるし、妻のほうもね、途中でくたびれ果て手を離してしまう。もちろん、たまにレアケースとして、夫婦関係を育て合ってきた素敵なカップルも存在します。とはいえ、まあ、レアケースですけれどもね。

 

男性の素敵な年齢の取り方

「おばさん化」するって、男の年齢のとり方でいちばんすてきなやり方じゃないかとわたしはひそかに思っている。

 男って、本当にかさばる生き物だから(笑)。しかも困ったことに、実態以上に、かさばらせて見せたいのよね。

 女は、ふたつのカテゴリーに分けられると思うの。すなわち、「娘さん」と「おばさん」です。男にウケたいと思うのが「娘さん」、男にウケたいと思わないのが「おばさん」です。年齢や容貌は、関係ありません。

 おばさんは、オバタリアンと呼ばれ、差別と迫害の対象となります。けれども、自己評価を他人(男)にゆだねない「おばさん」は、女として楽になれる生き方なのよ。

 いまは超高齢化社会だから、みな最後は老いて弱者になる。となると、最終的な生き方モデルはひとつだけ。男も女も、みーんな「おばさん」になるしかない。だから男性にも、こっちへいらっしゃいよ、と伝えたいですね。

 

どの年齢にも、よいことも悪いこともある

 世の中には、「いまのわたしがいちばん好き」「いまの年齢がこれまでで最高」と答えるひとがいるが、わたしはそれほど脳天気ではない。どの年齢にも、よいことも悪いこともある。

 いまが一番いいという人は、自己肯定の強い人な可能性があります。かといって、過去を懐かしむだけでも仕方ないですし。とはいえ、このような境地に達したのは、私自身、多少、長生きして楽になった、ということもあるかも知れません。年の功というか、まるくなったか。

 朝日新聞で「悩みのるつぼ」という人生相談の回答者を務めてますが、ある年齢以上の相談者の方には、人生にはよいことも悪いこともある、と気づいていただきたいと言いたいです。

 とにかく、その年齢を十二分に生きるべし、です。40代は40代なりの、50代は50代なりの。そのときの苦と楽を味わい尽くしてほしいですね。

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上野千鶴子のサバイバル語録上野千鶴子

定価:本体560円+税発売日:2019年04月10日


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