2010.08.20 書評

翻訳界の「ドリーム・チーム」が伝える
連合国、 枢軸国双方の子どもたちの日記

文: 「本の話」編集部

『私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった』 (サラ・ウォリス、スヴェトラーナ・パーマー 編著)

  本書の著者、サラ・ウォリスとスヴェトラーナ・パーマーは、もともと英国公共放送BBCなどで近現代史番組のリサーチャー、プロデューサーとして活動していた。サラ・ウォリスは国際エミー賞を受賞したドキュメンタリー「People's Century」(一九九五年放映、全二十六回シリーズ)の制作スタッフを務めた。スヴェトラーナ・パーマーも、ピーボディ賞や英国王立テレビ協会賞を受賞した「The Second World War In Colour」(一九九九年)の制作スタッフを務めた経験がある。

 彼女たちはテレビ番組「The First World War」(二〇〇三年)の制作にあたって第一次大戦に関する史料を収集した際、名もない兵士や市民たちが遺した日記や手紙を入手した。それらの中には、子どもたちの日記もあったが、ふたりはそれに釘づけになったという。

「やむなく戦争の中で成長期を過ごさざるをえなかった子どもたちが、さまざまな不条理や大人たちの論理とぶつかりながらも、あくまで自己に正直であろうとする姿勢に、私たちは強くうたれたのです」(スヴェトラーナ・パーマー)

 二人はまず、このときに収集した一般市民や兵士たちの日記・手紙類をまとめ、最初の作品『A War in Words』(二〇〇三年、邦訳未刊)を上梓する。その直後から、「次回は第二次大戦中に青春時代を過ごしたティーンエイジャーたちが遺した日記・手紙類に絞って、連合国と枢軸国の両側から、『子どもたちのみた戦争』を描きだしたいと考えていた」(サラ・ウォリス)という。

 だが、作業は困難を極めた。まずは史料収集のため、二人は大英図書館に通い詰めた。各国で出版された膨大な本の中から、めぼしい作品を探してゆく。英語、ロシア語、フランス語、ドイツ語で書かれたものについては、二人が自分たちで直接読んでいった。ポーランド語、日本語のものは、それぞれの国にいる協力者や博物館に調査を依頼した。テレビの仕事を中断し、本作の執筆一本に勝負をかけた。その結果、未発表のものも含め、多数の日記・手紙類が集まった。

「もっとも苦しんだのは、どのようにして登場人物を絞り込むかです。非常に魅力的な日記や手紙を多数集めることができたため、どれも捨てるには惜しい。

私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった
サラ・ウォリス・編著 , スヴェトラーナ・パーマー・編著 , 亀山 郁夫・ロシア語訳 , 河野 万里子・フランス語訳 , 関口 時正・ポーランド語訳 , 赤根 洋子・ドイツ語訳 , 田口 俊樹・英語訳

定価:1995円(税込) 発売日:2010年08月07日

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