特集

『イニシエーション・ラブ』徹底分析
小説の舞台と映画ロケ地を歩いてみた

文: 「本の話」編集部

 映像化不可能と言われたミステリー『イニシエーション・ラブ』が映画化され、23日公開された。松田翔太、前田敦子、木村文乃らが、80年代のラブストーリーを演じている。

『イニシエーション・ラブ』の舞台となった静岡市。写真はJR静岡駅。

 原作は、150万部を超えるベストセラー(文春文庫)。物語の舞台は静岡市。著者の乾くるみさんが、静岡市出身、静岡大学理学部卒とあって、小説のなかには静岡市の地名や施設名がふんだんに登場する。そこで今回、地元の書店員、戸田書店静岡本店の高木久直さん、松本玲子さんに案内していただきながら、小説の舞台となった場所、映画のロケに使われた場所を巡ってみた。

静岡県下を中心に全国で30店舗以上を展開する戸田書店。静岡本店は紺屋町名店街の入口という絶好の立地。エグゼクティブマネージャーの高木久直さん(左)は静岡書店大賞の初代事務局長。法律書やビジネス書、看護・福祉書を担当する松本玲子さん(右)は地元・静岡市出身。

 映画のロケ地については、最終ページでまとめてご紹介します。

合コンで出会い、夏の海へドライブ

 物語は、前半がさえない大学生の鈴木が人数あわせで呼ばれた合コンで歯科衛生士のマユと知り合い、恋に落ちていくside-A。後半が東京で働くことになった鈴木が静岡のマユと遠距離恋愛を続けるside-Bと、大きく2つに分かれている。レコードやカセットテープを知らない世代には、A面、B面と言われても何のことか分らないかもしれないが、物語はこうした80年代の雰囲気をたっぷり再現しているので楽しんで欲しい。

 まずは「静波海岸」(牧之原市)からスタートしてみよう。合コンから1週間後、鈴木のもとに友人の望月から電話がかかってくる。

静波海岸:牧之原市静波2228-44。夏には海の家が建ち並ぶ。サーファーも多い。「静岡の湘南と呼ばれたこともあります」と地元の方が教えてくれた。

「だったらさー、海行かねえ? 何かこの間のメンツで静波(しずなみ)に行こうって話が出てんだけど」(P26~27)

 予定日は2週間後の8月2日。この海での再会が、鈴木とマユの距離を縮める。80年代、若者の夏といえば、車で海は定番だった。

静岡駅から静波海岸入口まで路線バスでも行ける。約50分(静岡駅前バス乗り場14番 特急静岡相良線 1,090円)。

「静岡の代表的な海水浴場といえば静波ですね」と、静岡市出身の松本さん。夏の海水浴シーズンには海の家が建ち並ぶ。県立自然公園に指定されており、よく晴れた日には砂浜と松林と富士山の組み合わせという絶景が楽しめる。

 帰りは国道150号線の途中で「ココス」に寄って食事をした。ココス静波店はまさに150号線沿い(牧之原市静波1701-6)。海水浴場からも徒歩圏内にある。鈴木たちは車数台に分乗して出かけたが、路線バスでも行ける。

 なお、映画のロケは熱海市の海水浴場「うみえ~る長浜」で行なわれている。

【次ページ】ちょっとサエえない大学生・鈴木の生活圏は?

イニシエーション・ラブ
乾くるみ・著

定価:本体580円+税 発売日:2007年04月10日

詳しい内容はこちら

イニシエーション・ラブ特設サイト



こちらもおすすめ
書評懐かしいヒット曲が物語を彩る 80年代「ミスDJ」も愛読するラブストーリー(2015.05.22)
インタビューほか映像化不可能小説を映画にするアイディアが僕にはあった(2015.05.15)
特設サイト文藝春秋のミステリー ラインアップ2014(2014.12.16)
書評迷宮入り事件がモデルの本格ミステリ(2011.11.28)
書評リピートしたのは誰?(2004.10.20)