あのバー、あの道……映画ロケ地はどこ?
ここから先は、映画のロケ地となった静岡市の地元スポットを紹介していきたい。
まずは、2人のデートシーンで使われている「常磐公園」。大きな噴水は様々なパターンで噴き上がり、夜のライトアップは青や赤などに表情を変えて美しい。
デートで入ったバーの撮影は「KITCHEN & BISTRO光輪」。カウンター席の右側2つが松田翔太と前田敦子が座った席だ。エスパルスドリームプラザから徒歩ですぐ。
初デートのあと鈴木が服を買いそろえに行くのは、「メンズ&レディース ナナミ」。右奥の紳士服コーナーが撮影に使われた。JR静岡駅の南側で徒歩圏内。
鈴木がマユの家に向かうシーンは葵区錦町周辺で行なわれた。ときおり背景に映る赤い鳥居は、浅間神社の門前の商店街・浅間通りの入口、中町交差点の辺りだ。余談だが、浅間神社は徳川家康の意により贅をこらした社殿が造営されているので、ついでに足を伸ばしてみてはどうだろうか。今年は徳川家康が没して400年ということで、静岡市のあちこちで「徳川家康公顕彰400年」ののぼりを見ることができるだろう。
隠居した徳川家康の居城だった「駿府城」もちらりと登場する。
side-Bの冒頭が撮影されたのは、「静岡県立美術館」の周辺だ。良く整備された緑道が気持ちいい。side-Aで鈴木が買った中古車のミラクオーレをマユに見せるシーンもここかも知れない。
マユは読書家だった
この小説に登場する書籍についても触れておきたい。初デートでお互いの趣味が読書と分かった。
僕の趣味が推理小説オンリーなのに対して、彼女は古典文学を愛好していて、共通する部分がほとんどなかった。二人がともに読んでいる作家を見つけようとして、お互いに名前を挙げていったら、ようやく連城三紀彦が見つかったという感じ(P56~57)
だったが、お互いに本を交換して知識を広げるようになっていく。
『花嫁のさけび』『乱れからくり』『11枚のとらんぷ』『迷蝶の島』(いずれも泡坂妻夫)、『レベッカ』(デュ・モーリア)、『マノン・レスコー』(アベ・プレヴォー)、『十角館の殺人』(綾辻行人)といった本が登場する。
また、マユの部屋を訪ねた鈴木は、部屋の中を見渡してこう思った。
本はカラーボックスひとつに納まる程度で、だから百数十冊といったところか。思っていたより量は少なかったが、そこに並ぶ作家は、森鴎外や芥川龍之介、夏目漱石といった文豪から、宮尾登美子や檀一雄など、僕にとって名前は目にしたことはあるが読もうと思ったことは今まで一度もないような作家たち、そして星新一や村上春樹などといったメジャーどころまで、バラエティに富んでいた。(P96~97)
マユは読書家だったのだ。
今回協力いただいた戸田書店静岡本店は、JR静岡駅北口から目の前の東海道(国道1号線)を越えてすぐ、紺屋町商店街の入口にある。鈴木とマユがデートを繰り返した青葉通りにも近く、B1から2階までの全フロアのレジ前で『イニシエーション・ラブ』を展開中だ。
あっと驚くどんでん返しが注目される『イニシエーション・ラブ』だが、小説も映画も細部に様々な味わい深いエピソードが潜ませてある。何度でも読み返し作品を楽しんで欲しい。
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