単行本刊行時のインタビューです。
著者初のスポーツ小説『空の拳』から4年、再び、ボクシングに向きあったのが本作だ。
「前作ではボクシングの動きの表現に心を砕き過ぎて、試合の場面を書き過ぎたという反省がありました。今回は、物語をよりくっきりと描こうと。立花というボクサーに“世界”をみせたいとも思っていました」
ボクシング専門誌から文芸編集者となった那波田空也は、ふとしたことをきっかけに、一度離れていたボクシングに近づく。かつて通ったジムの花形選手タイガー立花と再会。立花はライト級の日本タイトルを失うも、奪還するために練習を続けていた。そんな彼に立ち塞がるのが、若き天才ボクサー岸本修斗だった。実力の差を見せつけられた立花はリング上である行動に出て空也を失望させてしまう。
「他のスポーツはあまり見ないのですが、ボクシングだけはずっと見続けてきました。試合を見ていると、リング上のボクサーの心情がはっきりと分かることがあるんです。恐怖心を取り繕おうとしても、すべてが剥がされてあらわになってしまう。そこがボクシングの面白いところです」
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