
ぐしゃりという音がするほどの強烈なストレートを浴びて、立花は惨敗。その姿を見ていたのがジムの練習生ノンちゃんだった。小学校からいじめられ続けていた少年は、立花の試合をみて“強くなりたい”とボクシングを始めた。だが、中学進学後もいじめはエスカレート。いじめから救い出したいと願う空也は、ノンちゃんとともに、立花の背中を追い続ける。
手術とリハビリを経た立花は階級を一つ落として復帰を決断。“なぜ岸本にもう一度挑まないのか。それは逃げではないのか。強さとは何か──”。そんな空也たちの疑問にこたえることなく、男はリングに立ち続ける。
「ボクシングジムに長らく通っていますし、『空の拳』を書き終えてもずっと不思議だったのは、彼らがなぜ戦っているのか、ということです。最近の選手たちは、相手に対して敬意の念を持っています。敬意を持った相手と殴りあうわけですから、“相手を叩きのめしたい”という気持ちだけで戦うのではない。その理由を描きたくて、今回のタイトルをつけました」
本作では、弱小ジムからは世界タイトル挑戦が難しいボクシング界の現状もリアルに描かれている。周囲の協力で世界への道筋が見えはじめた立花が、化け物のような恐怖に対峙したとき、“拳の先”に何を見たのか。物語に込められた著者の答えをぜひ読んでほしい。
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