本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
読書の秋? 食欲の秋? 恋に落ちる秋?<br />この秋に読みたい書店員のおすすめ本

読書の秋? 食欲の秋? 恋に落ちる秋?
この秋に読みたい書店員のおすすめ本

「本の話」編集部

食欲の秋に、料理上手になれる本

 秋は読書だけでなく、「食欲の秋」でもありますね。こんな質問をいただきました。

料理が超初心者です。1週間分の食材を何を買えばいいのかもわからないので、この料理本みれば食材もわかるし、料理も作れるよ! というものを、ぜひ教えて欲しいです♪ (愛知県    30代    女性)

戸木田直美(代官山蔦屋書店)

『決定版ずっと使える「一汁二菜」献立帳』
世界文化社
定価:本体1800円+税
発売日:2013年09月24日

 献立をセットで考えたい時にオススメなのは、こちら。
『決定版 ずっと使える「一汁二菜」献立帳』(世界文化社)
 メインの食材を選ぶと、一汁二菜の献立が、段取りスケジュールと一緒に紹介されています。この段取りスケジュールがとても便利! ポイントに下線が引いてあるのも、わかりやすいです。
『小林カツ代 料理の辞典 おいしい家庭料理のつくり方 2448レシピ』(朝日出版社)
 とびきりたくさんのレシピが載っていて、食材からも調理法からもメニューからも探せるまさに辞典です! 余った食材を工夫して作りたいとき、メニューにバリエーションがほしいときに。
 また、下ごしらえや切り方など、調理の基本の本が1冊あると、レシピの本でわからない言葉が出てきたときにさっと調べられます。

 

 秋はお出かけにも絶好の季節。書店巡りをするのなら、こんな本を読んでおくと、より楽しめるかも知れません。

この頃、書店や書店員員さん、出版社などをを題材にしたマンガや小説が増えていて、私もつい食いついてしまうのですが、やはりそういうのには、食指が動きますか? 共感する本はつい売り場を増やしたりとか……?    (長崎県    40代    女性)
 

富田結衣子(文教堂書店代々木上原駅店)

 やはり、題材が書店や出版社だったりすると読んでしまいます。書店ものは基本的に共感することが多いですね。女性新人編集者の奮闘と仕事の悔しさ、そして喜びを描いた『重版出来!』(松田奈緒子/小学館 1~4巻発売中)の1巻を初めて読んだ時には、号泣しました。1巻の終盤のエピソードの、描く人、作る人、営業する人、売る人、が1冊のマンガを1人でも多くの読者に届けたくて働いている場所も内容も違うけれど、チームのように一丸となっていく場面は、今でも私にとってとても大切なシーンで、時々読み 返して気持ちを改めています。

 

山本善之(くまざわ書店大手町店)

 出版業界を舞台にした作品は、どうしても業界内では友好的に、特別な注目を集めているように感じます。そのことは本来の作品の評価を曲げてしまったり、過度なアピールをしてしまう原因に繋がります。ですから売場に表すときはより慎重に構えることを心がけています。
 が、自分では読みます。すごく気になります。好きになります。私が本屋に入って初めて出会った業界を舞台にした本は、本屋学生バイト時代の『暴れん坊本屋さん』(久世番子/新書館)でした。売場で起こるトラブル・あるあるエピソードにバイト内で共感の嵐。スタッフの結束が強まりました。
 最近どうしても気になるのは、『オレの宇宙はまだまだ遠い』(益田ミリ/講談社)です。主人公の土田君は32歳独身書店員。まさに私山本も32歳独身書店員であり、全てが自分事。土田君が感じ、悩み、決めること。忙しい日々の中で麻痺している心に響きます。

 

戸木田直美(代官山蔦屋書店)

 ついつい手にとってしまうことが多いですね。とはいえ、今はあまりに種類が多くなって、気になると思いつつも、すべてに目を通すことはできていません。書店員になってすぐの頃に出版された『書店風雲録』(田口久美子/ちくま文庫)は、80年代の池袋リブロでの出来事を回想した内容の本なのですが、今でもとても印象に残っていますし、その思想は少なからずわたしの仕事にも影響を及ぼしているように思います。

 

 ところで、こんな質問をいただきました。

読書の秋といいますが そもそもなぜ 秋ですか? 夏休みとか冬休みのほうが時間ありそうですが。(千葉県 30代 女性)

富田結衣子(文教堂書店代々木上原駅店)

 秋は元々、気候的に過ごしやすく、気温が14度~16度と脳の活動に最適な温度になるため、読書や勉強に没頭しやすい時期、と言われています。更に、日が落ちるのも早まり「秋の夜長」と言う言葉もある程、夜が長く感じられることから、その時間は読書をするのにふさわしいとされています。
「読書の秋」という言葉の由来は、中国・唐代の文人である韓愈(かんゆ)が残した詩の中に、「燈火(とうか)親しむべし」という一節があり、その意味は、「秋になると涼しさが気持ち良く感じられ、あかり(燈火)になじむようになる」。つまり、秋は読書に一番適した季節であるということを表現したこの言葉、とされています。
とはいえ、個人 的には、面白い本はいつ、どの季節に読んでも面白いと思います。
お好きな時にお好きな本を読んで頂けると、嬉しいです。

  本を片手に、ゆっくりと秋をお楽しみください。

食欲の秋をテーマにした書店のフェア。MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店にて。

関連情報を本の話WEBのTwitterアカウント(@hon_web)でつぶやいています。ハッシュタグ:#書店の謎

【次ページ】この連載の回答者プロフィール一覧

プレゼント
  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/11/20~2024/11/28
    賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る