インタビューほか

化け猫は、妖怪ではありません(笑)

「本の話」編集部

『猫は仕事人』 (高橋由太 著)

文春文庫から高橋由太さんの書き下ろし時代小説『猫は仕事人』が11月に刊行された。同シリーズは以降、来年3月、7月と続編が刊行される予定。高橋さんは、主に妖怪の活躍するライト感覚の時代小説で若い読者に人気のある作家。ところが今回の作品では、主人公は化け猫なのに、妖怪ではないという。その理由とは?

 いや「化け猫」も妖怪じゃないか、といわれそうですね。でも、小説のなかで書かれる「化け猫」は、いわゆる「妖怪」ではないと、私は考えています。

 夏目漱石の『吾輩は猫である』や赤川次郎さんの『三毛猫ホームズ』などの主人公は、化け猫でなくて普通の猫です。でも人間の言葉を解して平然と振舞っている。

 つまり、「化け猫」は、「普通の猫」の延長線上にある存在です。人語を解する猫は、ファンタジーなのだけれども、なんだか現実にありえそうに思えるのですよね。

 ところで『猫は仕事人』の「化け猫」は「人間にとりつく」という能力を持っています。人間にとりついて、“仕事”しています。これはちょっと「妖怪」かもしれない。

 しかし「宝くじ」にあたれば、「ついている」といいますし、不運にみまわれれば、「ついてない」という。作家も小説が売れれば「化けたね」といわれるわけで、この世の中で「とりつく」ことはとりわけ珍しいことではないです(笑)。

 当初、人間と猫で、コンビを組んで事件を解決したりする、「相棒(バディ)もの」として考えていたのですが、それだと、どうしても猫が脇役にまわってしまい、これまで書いてきたものと同じになってしまう。

 むしろ書いてみたかったのは、猫のかっこよさ。それで思い切って、猫を主人公にしてみました。猫の目で人間の世の中を見るような小説を書いてみたかったわけです。

 一作目になる『猫は仕事人』は町娘姉妹の悲話が絡むので、少し物悲しい面もありますが、主要登場人物たちにコミカルさがありますので、3月に刊行される予定の続編からはよりコミカルな面が強くなってきます。

 これまで色々と書き下ろし小説を書いてきましたが、今回の作品は勝負作のつもりです。いい意味で、読者の皆さんの予想を裏切っていきたい。化け猫まるたちの物語に、末永くお付き合いいただければ、と思っています。

猫は仕事人
高橋由太・著

定価:本体610円+税 発売日:2014年11月07日

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