書評

(文庫版あとがき:)習近平は「中興の祖」となるか、それとも悲惨な末路を辿るのか

文: 峯村健司

『宿命 習近平闘争秘史』(峯村健司 著)

『宿命 習近平闘争秘史』(峯村健司 著)

「今は圧倒的な権力の前にみなひれ伏して沈黙しているに過ぎない。だが、思うような実績が出せずに国民の反発が強まれば、政権打倒の動きは一気に起こりうる。習主席は見えない『敵』と闘い続けているのだろう」

 この当局者は、長年、政府機関で働く共産党員で、習政権の誕生時には期待感を私に語っていた一人だ。国家主席の任期撤廃には強く反対しており、習氏が権力集中を進めて「独裁者」となるにつれ、失望感を示すようになった。

 習氏は改革を成し遂げた「中興の祖」として中国史上に名を残すのか。それとも成果を出せないまま不満のマグマにのみ込まれて悲惨な末路をたどるのか。その中間はなく二者択一しかない、と私は確信している。


 本書の出版のお話を早くからいただいていたにもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル問題やトランプ旋風などの取材に追われ、執筆が大幅に遅れてしまったことを、担当の文藝春秋の瀬尾巧氏をはじめみなさんにお詫びしたい。今回の出版を調整いただいた同社の西泰志氏と小学館の柏原航輔氏にお礼を述べたい。共に中国の名門、清華大学で教鞭をとられたご経験がある朝日新聞社の西村陽一・常務取締役と沢村亙・アメリカ総局長には、米中関係の基本をたたき込んでいただいたことに対して改めて感謝したい。

 本書の根幹部分は、ハーバード大時代の知識と経験に基づくところが大きい。MCMLコンサルティングサービス社長のケリアン・パノス氏をはじめ、教授陣や学生の同志たちにも謝意を述べたい。

 最後に、何度も自宅の書斎に招いていただき中国論の薫陶を賜った上、長時間のインタビューも快く引き受けていただいた恩師、エズラ・ボーゲル名誉教授に心からの感謝を表したい。

2018年4月

ワシントンで

宿命 習近平闘争秘史峯村健司

定価:本体940円+税発売日:2018年06月08日