ブラックバイトの特徴

　まずは、ブラックバイトの特徴を列挙していこう。特徴は、次の十個にまとめられる。

　（1）自分がいないと職場が回らない

　（2）過重な責任

　（3）長時間・深夜勤務、遠距離へのヘルプ

　（4）急な呼び出し、シフトの強要

　（5）最低賃金割れの賃金、残業代不払い

　（6）偽装求人

　（7）罰金、ノルマ、自腹購入

　（8）責任感から辞められない

　（9）契約違反・損害賠償で脅す

　（10）強迫、暴力

　（1）～（4）は、アルバイトが職場で中心的な「戦力」として扱われることで、過剰な責任を負わされてしまっているという事態だ。過剰な責任を負わされてしまうと、授業に出られない、テストを受けることができない、就職活動ができないといった状態に陥ることもある。

　また、学生が「バイトリーダー」などの役職に就かされ、会計やアルバイトの新規採用など、店舗のすべての業務に責任を負わされることも珍しくない。こうした学生は授業中やゼミナールの最中にも仕事先から呼び出され、顧客のクレームやアルバイトの欠員などへの対応が求められる。また、大学の試験期間中も休むことができず、留年や退学に至る場合もある。実際に、学生アルバイトは店舗運営の責任者であり、彼らが出勤しないことには店舗が開けられることはない。だからこそ、アルバイトたちは「責任感」を内面化しており、自らその責任を果たそうとしてしまうのだ。