- 2018.09.11
- 書評
過剰な責任と違法な脅しで追い詰められる若者たち
文:今野晴貴 (NPO法人POSSE代表)
『西一番街ブラックバイト』(石田衣良 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
辞めたいと申し出ると、店長からは「人数が今でも足りないのに、あなたが辞めたら店が回らなくなる」と言われたうえで、「本当に辞めるのなら、懲戒解雇にする。懲戒解雇になったら就職できなくなるよ」と脅された。また、「四千万円の損害賠償請求をする」「会社が訴える準備をしている」「弁護士に相談している」という趣旨の脅迫を何度も受けていた。さらに、「罰金」として二十万円以上の支払いも強制されている。
そして、脅され続けながらも、繰り返し辞めたいというと、最終的には「殺す」などと脅された上、実際に包丁で切りつけられる被害を受けてしまった。店長は警視庁によって捜査、起訴され罰金刑が確定している。
また、あるとんかつチェーン店では、専門学校に通っていた学生が、週三日の勤務の約束だったはずが、夏休み中に週六日勤務となり、学校が始まっても週七日の勤務を強制されるようになった。授業に出席も出来ず、土日さえも休めない状態になった。
彼は店長に休みたいと頼んだが、「(飲食業なのに)土日休むのは、自分がいなくても同じってことか」「学生あつかいは高校生までだ」などと、怒鳴られたという。せめてシフトを変えてほしいと言ったときも、「お前がスケジュールかけや」と怒鳴られ、二週間前に申請しているにもかかわらず、友人の結婚式や親族の三回忌でも休めなかった。同じ店舗の「バイトリーダー」の学生も同じく専門学校の学生だったが、目的だったはずの資格試験の日に、急遽シフトを入れられ断れず、そのままそこで働いていたという。
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