インタビューほか

構想12年の力作、冲方丁長篇ミステリー『十二人の死にたい子どもたち』に込めた想いとは──前編

「別冊文藝春秋」編集部

2019年1月、映画化決定!

『天地明察』や「マルドゥック」シリーズで知られる冲方丁さんの『十二人の死にたい子どもたち』。直木賞候補作にもなったこの作品が、このたび堤幸彦監督により映画化されることになりました。それにあわせて、単行本刊行時のインタビューを前・後編でお届けします。

単行本刊行時のインタビューです

 

冲方 まさかこんなにかかるとは思わなかったですけど(笑)、逆にいうと、十二年という長い間一度もあきらめようとは思わなかった。いつか書けるはずと思い続けて、やっとその時が来たという感じです。

 タイトル通り「死にたい」と思ってる子どもが十二人いて、彼らが一堂に会してみたら? というのがストーリーラインですが、僕にとっては初めての“密室劇”であり、“推理もの”であり、同時に“現代もの”でもあるという、初めて尽くしの一作です。

 正確に言うと現代を舞台にした短篇は書いたことがあるのですが、ここまで意識的に、しかも長篇でやりきったのは初めて。そもそも密室劇というのは現代ものならではの手法で、いつかやってみたいと思っていたものでした。なぜなら密室という何もかも削ぎ落とした空間では、逆説的にすべてがさらけ出されてしまうからです。

──確かに、何もない空間に子どもたちが“身ひとつ”でやってきたのでなければ、こんなにもひとりひとりの心や輪郭がはっきり伝わってこなかったかもしれません。

冲方 ミニマムな情報しか与えられていないからこそ、かえって、死を覚悟するというあまりにも重い一線を越えざるをえなかった子どもたちの生い立ちや家族の顔、彼らが生きる社会そのものが見えてくるようになったのかな、と。

──物語は自殺志願の少年少女が集結するところから始まります。呼び掛け人は自殺サイトの管理者“サトシ”で、彼もまた十代の少年です。かつて病院だった場所にやってきた子どもたちは、あらかじめ教えられていた暗証番号を使って建物内に入り、金庫に収められた十二個の「数字」のいずれかを手に取る。そうした儀式ののち、全員の意思を確認したうえで眠りにつこうというのがこの「集い」のねらいでした。



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