女房の何冊目かのエッセイ集だ。すべて読んでいるが、本が出るたびに上手くなっている。女房は父、母、祖父と理系ばかりの家で育ったせいか、新婚の頃はほとんど文章らしい文章が書けなかった。私の原稿を編集者に出す前に、最初の読者として読んでもらっても、送り仮名や漢字の間違いを指摘する程度で、批評らしきものは期待できなかった。せいぜい「なんか面白くない」くらいの感想であった。それがどうだろう、十数年ほど私の原稿の精読を強制されているうちに、見事に本質をついた批評をするようになった。それどころか「ここはこう書いた方がいいんじゃない」と私にアドバイスさえする。しかも、それらの八割は成程というものである。
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2012.04.25インタビュー・対談