
■石原VS塩路
塩路は亡くなる前年の二〇一二年、四七七ページからなる『日産自動車の盛衰 自動車労連会長の証言』を出した。冒頭の「失脚」では写真週刊誌に掲載された記事の顛末がつづられる。
〈石原俊氏が日産社長に就任した昭和五十二(一九七七)年以来、私と石原氏の対立はことある毎にマスコミを賑わせたが、そのほとんどが社内の主導権をめぐって労組と経営陣が熾烈な権力闘争をしているというスキャンダルめいた切り口の記事、もしくは金、女にまつわるスキャンダルそのものだった。
われわれの対立が最も喧伝された日産の英国進出に関する労組の反対も、実際は“明らかに”会社の経営を危うくする──つまりは組合員の生活を危うくする──ような無謀な海外プロジェクトはやめて欲しいという、労組のトップとして至極あたりまえの提案に過ぎなかった。それが、あたかも私が権力奪取のために、石原氏を窮地に追い込む策謀をめぐらせているかの如く書かれ続ける〉
悔しさが行間から聞こえてくるようだ。著書では「日産迷走経営の真実」として社長の石原が推進した海外プロジェクトの行方が詳述される。米国への小型トラック工場進出、モトール・イベリカ社との資本提携、アルファロメオとの合弁事業、フォルクスワーゲン社との提携などだ。
〈“歴史を正しく理解する”という意味で最も重要なことは、四期八年に及ぶ石原氏の社長在任期間もその後も、業績は一貫して下がり続けたことである〉
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