- 2019.08.27
- 書評
すべては40年前のアメリカ留学から始まった。総理と夫人と、学園経営者の奇妙な関係。
文:石井妙子 (ノンフィクション作家)
『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(森功 著)
日本国内での学生不足による赤字を補填(ほてん)するため、海外、それも発展途上国へと触手を伸ばしていく。それを日本の首相夫妻も積極的に後押しする。何よりも気になるのは留学生のその後だ。日本に赴く若者たちの夢や目的は叶えられるのか、それとも踏みにじられてしまうのか。中には多額の借金をして学費を工面した学生もいるであろう。あるいは大学には初めから期待せず、日本に入国するための手段として、学生ビザを取ることだけを目的に入学する若者もいる。そうした出稼ぎ目的の留学生たちは、入学後、大学から姿を消して、日本国内で行方不明者となる。それを承知で留学生を集めるような大学、それを許す教育行政を今、日本は推し進めているのである。
補助金を得て過疎地に大学を新設し、留学生を求めて海外にも進出した。しかし、それでも定員割れは解消できず、赤字が続いた加計学園は次の手を求める。
それが、獣医学部の新設であった。
獣医学部は「儲かる学部」と教育業界では言われている。人気漫画の影響で志望者は多く、六年制で学費を高く設定できるからだ。しかし、獣医師が増えすぎて過当競争となることを避けるために、「教育の自由化」以降も、医学部、歯学部などとならんで獣医学部は規制の対象となっており、新設は不可能とされてきた。
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