
『うさこちゃんとうみ』も、そんなふうに家の外で出会った本です。子供の頃は持っていなかったけど、ずっと心に残っていて、大人になってから買いました。
『うさこちゃんとうみ』は、とても美しい本ですが、その海辺の風景は、私には、どこか異様な感じがします。空は濃い藍色で、晴天の空というより、夜空のようです。黄色いお日様は満月のようで、静けさに満ちた海岸を照らしています。あんまり静かな光景なので、子供の頃の私は、自分の知っている海水浴の風景(うるさくて賑やかで人がいっぱい)との違いに混乱したほどです。
ブルーナにしたら、特に意図したわけではなく、使うと決めた4色(ブルーナカラー)を風景にあてはめたら、こうなったという事かもしれません。でも、この異様な緊張感のある美しさが、夏の日の1日を詩的に閉じ込めている気がします。
あの日、うさこちゃんが、ひとりで水泳パンツをはいたこと。さまざまな色や形の貝を拾ったこと。父さんと、ぱしゃぱしゃ水をはねかしたこと。帰るとき「もっと もっと いましょうよ!」と騒いだうさこちゃんが、荷車のなかで、コトンと眠ってしまったこと。
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