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全国の書店員から感動の声。本を愛する全ての人に贈る『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』

全国の書店員から感動の声。本を愛する全ての人に贈る『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』

『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(内田 洋子) Montereggio Vicissitudini di librai viaggiatori da un paesino(Yoko Uchida)


ジャンル : #随筆・エッセイ

2018年4月に単行本(方丈社刊)が刊行されるや、多くの媒体で紹介され、書店の方たちからも、沢山の熱い言葉が届きました。

文庫版刊行を記念して、改めてこの1冊への想い、応援メッセージをいただいたので、ここでご紹介いたします。 


『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(内田 洋子)

三省堂書店池袋本店 早野佳純さん

『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』が2018年4月に刊行されてから約3年半、私はこの本を切らすことなく文芸書売場の片隅に並べ続けてきました。この本を〈誰か〉に届けることは、本と、本屋と、それらを愛するすべてのひとたちの未来をつなぐことだと信じて。

 そんな作品が、ついに文庫になります。かたちを変えても、丹念な取材によって書き綴られたモンテレッジォの村と本の行商人たちの歴史や、ページに込められた内田洋子さんの想いが変わるわけではありません。そうやって、かたちが変わろうが時代が変わろうが、本を愛する人々がいる限りこの物語は読み継がれてゆく。私はそう確信しています。
 

谷島屋ららぽーと沼津店 小川誠一さん

「私も本に救われた一人なのです」

3年前、この本を読んで衝撃を受けた。いや、救われたといっていいかもしれない。いやいや、そうではない。「私が本に救われたことを確認できた」と言った方が正しいだろう。

何のとりえもなく、資格と言えば運転免許証ぐらいしか持っていない私だが、書店員として今でも働いていられるのは「本が好き」というただ一つの理由だからだ。

だがしかし、この本との出会いは必ずしも褒められたものではなかった。恥ずかしながらこの本を最初に知ったのは新聞の書評で! しかもその時にはすでにPOSデータで2冊も売れていた! というから……情けない。「おいおい、お前本当に書店で働いているのかよ」と突っ込まれてしまえばそれまで。そして読んだ。即座に読んだ。そして泣けてきた。悲しくて泣いたのではない。そうではない。訪れたこともましてや聞いたこともない遠い外国のイタリアの山奥の村「モンテレッジォ」に、自分と同じく本が好きで本に携わる仕事を何百年も営んできた人々が暮らしているということがわかったからなのだ! そこに泣けた。彼らの歴史に泣けた。「書店員になれて・続けられて本当によかった」と心底思った。それは店頭での日常業務にも表れる。お客様から稀に魔法の言葉をいただくが、その一つに「この前勧められた本、すごくよかったよ」というフレーズがある。書店員殺しのフレーズだ。この本に限っては3名の方からいただいた。つまり私は少なくともこの本で3回は死んだことになっており、そして3回生き返って4回目の死を今待っている。それもそう遠くないだろうと思う。文庫化という最大のチャンスが舞い込んできたのだから。内田先生の華麗な文章をどの方に読んでいただこうかと思い悩む日々が続きそうだ。

最後に「この本を未読の方は幸せだ。こんなに素晴らしい体験があなたを待っているのだから」という言葉で結びたい。

©UNO Associates Inc.

八重洲ブックセンター本店 内田俊明さん

幾度となく読み返しているが、最近は本を開いただけで清々しい空気が感じられる。単行本の刊行時は、トスカーナの片隅に存在した、書物にまつわる歴史の中の輝きを、期待以上のお客様に感じ取っていただけた。文庫化でさらにその輪が広がることがうれしい。

©UNO Associates Inc.

三省堂書店成城店 大塚真祐子さん

東京の大きな商店街の外れで、戦前から小さな本屋を営んでいたわたしの祖母は、仕入のために「本の街」神保町へかよい、本を詰めた風呂敷を日々背負っていました。〈籠いっぱいの本を担いで、イタリアじゅうを旅した行商人たち〉の存在を知ったとき、その姿はそのまま風呂敷を背負う祖母の姿に重なりました。祖母の本屋で本に触れ、わたしは書店員になりました。

内田洋子さんがモンテレッジォに辿りつくことがなければ、わたしは自分が書店員として働いていることを、単なる偶然の集積にすぎないと今も考えていたかもしれません。祖母は確かに何かをわたしに手渡したのだと、この本が気づかせてくれました。さらに本書はその後、モンテレッジォの子供達に、村の歴史を記した絵本を作るきっかけをももたらします。

すべてはただ一度の本屋との出会いからはじまります。本や本屋はあなたやわたしが思うよりも、ずっと遠くにわたしたちを連れて行ってくれるのです。

©Associazione “Le Maestà di Montereggio”

八重洲ブックセンター 京急上大岡店 平井真実さん

初めて読んだ日の感動をいまだに覚えている。ページをめくるたびに、遠いイタリアのモンテレッジオという村の凛とした空気と本に対する情熱が、時間と場所を超え強烈に胸に迫ってくるのだ。あれから何度となく壁にぶつかったとき、助けを求めるように本棚からそっと取り出し大切に読んできた。本を届けることの意味、本を読むことで自分の中に降り積もっていく感情、そしてこの本をきっかけに村の歴史を大切に学んできたモンテレッジオの子供たちに、いま静かに思いを馳せている。この軌跡が多くの人の心に届きますように。

©UNO Associates Inc.

丸善 丸の内本店 高頭佐和子さん

イタリアの小さな村から、本を売るために旅に出た名もなき人々。この本を読まなければ決して知ることのなかった彼らの真摯な生き方は、日本の書店員である私にもささやかな誇りを思い出させてくれ、その心を受け継いで生きる人々に対する温かい親近感を持たせてくれました。本を愛する全ての人に読んでいただきたいという気持ちで、発売以来平積みし続けている大切な本です。新しい形になってたくさんの読者に届くことが、とても嬉しいです。

©UNO Associates Inc.

リブロプラス 昼間匠さん

未だ続いているコロナ禍で読み直すと当時の感動に加え、変わってはいけないものが世界中にはたくさん溢れていることに気づかされた。

「本の力」を信じて生きているモンテレッジォ村の人々の精神もそのひとつである。

自分のため、そして本を愛するすべての人のために真摯に向き合い歩き出そうと再び「モンテレッジォの行商人」から教えてもらった。

いつの日かではなく絶対にモンテレッジォに行こうと誓った。

©Martin Cooney

三省堂書店海老名店 竹村 真志さん

普段は小説ばかり読んでいて、あまりノンフィクションには馴染みがなく、この本に関しても、単行本刊行時、上司がコメントを寄せていたような……程度の認識でしかなかった。

今回、文庫化ということで、新刊発売日に段ボールの中で再会した。

いや、正直に言ってしまえばノーマークだったわけで、ほとんど「初めまして」に近い。

緑深い山奥にポツンとある集落……どこか幻想的ですらある表紙と、どうやら本にまつわる話らしいということに興味を惹かれ、直感的に「これは読まねばなるまい」と感じた。

驚きと感動の連続だった。

決して教科書で語られることはないのだろうけれど、それは紛れもなく、ヨーロッパを――つまりは世界を動かした「歴史」の連なりだった。

すべてが繋がっていた。

モンテレッジォの行商人が、知識と文化を届け歩いた長大なる道の続きに、一介の書店員でしかない僕だけれど、踏み固め、その先を切り拓いていく一員として新たに加えてもらえたような気がした。

また新たに道が繋がったのだ。この道を、もっと繋げていきたい。

文春文庫
モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語
内田洋子

定価:935円(税込)発売日:2021年11月09日

文春文庫
ジーノの家
内田洋子

定価:748円(税込)発売日:2013年03月08日

文春文庫
ロベルトからの手紙
内田洋子

定価:704円(税込)発売日:2019年04月10日

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