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佐藤良明氏による紹介 『デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化』 モリス・バーマン 著/ 柴田元幸 訳

文: 佐藤 良明

『デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化』(モリス・バーマン 著/ 柴田元幸 訳)

 カルト・ライターズ隆盛の背景には、僕らの〈無意識〉が、時の深層において組み替わってきて、時の表層をつくる社会的現実との間に亀裂を生んだということがあるのだろう。新しい情感と欲望と嫌悪を抱えた僕らが、代わり映えのしない日常を生きつづけなくてはならないとき、僕らのハートは飢える。飢えたハートは、みずみずしいファンタジーとロマンを求める。ファンタジーとロマンは、現実の中で試され、淘汰されて、しだいに新しい〈時〉を動かす現実性を身につけていく。順番を間違えてはいけない。時の深層で起こるハートの飢えが、思考と行動を誘発し、それが時の表層を変えて、時代の変化を完結させるのだ。

〈近代〉の成立にしても、そうだったのではないだろうか。まず「冒険」への、ワケのワカラナイ野心が現れた。マルコ・ポーロとヴァスコ・ダ= ガマとコロンブス。それに続いて、カルヴァンらが人々の飢えたハートを導いた。ベーコンとデカルトの出現は、だいぶ後になってから。〈知〉に先行して、〈情〉の変革があった。

〈六〇年代〉とは、より大きな〈時〉のシステム変革の引金を引く、熱情の時代だったのではないか。だとしたら、あの時代、アホラシクも単純な、近代機械文明の一切を「悪」と見るようなヴィジョンが横行したとしても、苦笑したり軽蔑のため息をもらしたりする必要は全然ない。思いは、単純であっていい。重要なのは、それがシンシアな思いであることだ。心の底──時の深み──から得られるハートの情報に、しっかり聴き耳を立てること。その上で、僕らの生の実感からはずれない、より精練された世界認識を、時間をかけて育んでいけばいい。

デカルトからベイトソンへモリス・バーマン 柴田元幸訳

定価:本体3,800円+税発売日:2019年07月25日


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