〈六〇年代〉に何が起こったのか──ということの答えが出るまでには、これから先何十年かの時の経過が必要だろう。というのも、それが、〈科学革命期〉に何が起こったかとか、〈宗教革命〉とは何だったのか、というのとたぶん同じ規模を持つ問題だからだ。しかし、時代を直接生きた僕らにも、確信を持っていえることがある。それは、あの時代に、「魅力的な生のテクスチャー」というものが様変わりしたということだ。
つまり僕らの〈ハート〉が変わった。
Everybody’s got a hungry heart, everybody’s got a hungry heart ...
(Bruce Springsteen)
ちょうどロックンロールが生まれたころから、アメリカでは本屋の棚にもたくさんのカルト・フィギュアが現れて、無数の若きハングリー・ハートを誘ってきた。ギンズバーグ、ケルアック、スナイダー。キージー、ヴォネガット、ブローティガン。マクルーハンとバッキー・フラー。ライヒ、マルクーゼ、ノーマン・ブラウン、R・D・レイン。ヘッセ、トールキン、ハインライン。トマス・ピンチョン。西洋文明の全体に向けられたパラノイアじみた弾劾があり、古代と東洋とインディオとイルカと魔術と宇宙の彼方への濃厚な誘いがあった。ウスペンスキー、アラン・ワッツ、ジョン・リリー、カスタネダ……。
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