書評

現代なら、ダメンズにつかまるタイプ

文: 小日向えり (タレント・エッセイスト)

『ゆけ、おりょう』(門井慶喜 著)

『ゆけ、おりょう』(門井慶喜 著)

 龍馬が亡くなってから、実は3回の龍馬ブームがありました。第1回目は、本文にも出てくる『汗血千里の駒』。明治一六年、それまでほとんど無名だった龍馬を一躍有名にします。この影響で、明治二年の新政府の論功行賞ではなんの功績も認められなかった龍馬が、明治二四年に正四位を追贈されています。第2回龍馬ブームは、日露戦争を控えた明治三七年、皇后陛下(昭憲皇太后)の夢枕事件。これも本書に記されています。夢枕のエピソードが新聞に取り上げられたことにより、龍馬は国民的人気となり、皇后のご意向で京都霊山護國神社に「贈正四位坂本龍馬君忠魂碑」が建立されます。そして第3回のブームは、司馬遼太郎さんの小説『竜馬がゆく』によって。幕末同時代を生きた人たちの中で、坂本龍馬と中岡慎太郎は双璧の存在でしたが、『竜馬がゆく』の影響は大きく、今では龍馬のほうがずっと有名になり、好きな偉人ランキングでも上位にランクインしています。ソフトバンクの孫正義さんや海援隊の武田鉄矢さんも、『竜馬がゆく』を読んで、大の龍馬ファンになったそうです。

ゆけ、おりょう門井慶喜

定価:本体760円+税発売日:2019年08月06日


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