特集

対談 私たちのファーストクラッシュ #1<特集 恋愛に必要な知恵はすべて山田詠美から学んだ>

文: 山田詠美,ジェーン・スー

文學界11月号

対談 私たちのファーストクラッシュ #1<特集 恋愛に必要な知恵はすべて山田詠美から学んだ>

初恋はいちばん不穏でよこしまな恋である――
十月末に刊行される『ファースト クラッシュ』は、山田氏真骨頂の芳醇な恋愛小説だ。
山田作品の熱烈な愛読者であるジェーン氏を迎え、恋愛小説の言葉のマジックについて、正しさの罠について、個人として生きることの大切さについて濃密に語り合う。


『ファースト クラッシュ』(山田詠美 著)

たくさんの小さなお作法

 山田 『ファースト クラッシュ』が『文學界』に載ったとき、Twitterで感想をつぶやいてくださったんですよね。私自身はSNSをやっていないんだけれど、即座に編集者がメールで送ってくれて、二人でわーいって盛り上がったの。

 ジェーン ちょうどサイン本をつくりに立ち寄った北海道の書店に『文學界』の新しい号が並んでいて。それまで文芸誌はほとんど読んだことがなかったんですけど、山田さんの名前を表紙に見つけて「あっ!」と思って買ったんです。それを帰りの飛行機で唸りながら読んで、興奮のままにつぶやいたという。まさかご本人まで届くと思っていなかったので、けっこう肝が冷えました(笑)。

 じつは私、読書が本当に苦手でして。古典といわれるものさえほとんど読んでいないので、これまで恥ずかしくてお名前を挙げられなかったんですが、たぶん私がいちばん読んでるのは山田さんの本なんです。

 山田 ほんとに? わあ、うれしい。

 ジェーン 高校生から大学生、社会人になった初めの頃までに出たものは、ほぼ全部読んでいる状態でした。『120%COOOL』のあたり、『アニマル・ロジック』とか『4U』や『A2Z』までは、単行本が出たら即買いしていた記憶があります。

 山田 ああ、そう。それは光栄。今はだいたい教科書に載っている作品から私のことを知ってくれるパターンが多いから。

 ジェーン 私はそれこそオンタイムで読んでいました。『放課後の音符(キイノート)』が連載されていた『オリーブ』も読んでいる世代だったので。

 山田 ああ、そうね。『オリーブ』の連載で読者層がちょっと変わったというか、広がったところはあるかも。

文學界 11月号

2019年11月号 / 10月7日発売
詳しくはこちら>>

ファースト クラッシュ山田詠美

定価:本体1,500円+税発売日:2019年10月30日

ぼくは勉強ができない山田詠美

定価:本体430円+税発売日:2015年05月08日

トラッシュ山田詠美

発売日:2008年04月20日


 こちらもおすすめ
イベント『ファースト クラッシュ』刊行記念 山田詠美さんサイン会(大阪・名古屋・東京)(2019.10.29)
インタビューほか〈特集〉デビュー二十周年 山田詠美の世界 私が惹かれる男のたたずまい(2005.05.20)
書評スーさんの魔法の筆から繰り出される言葉の数々に、してやられる快感(2018.11.28)
特集花見の宴の謎あるいは人生は面白いという命題からいかにしてアイロニーを払拭するか(2019.10.15)
特集縄文論(2019.10.22)
特集「地下鉄サリン事件」以降の村上春樹――メタファー装置としての長篇小説(前篇)(2019.10.29)