働く現場からつぎつぎと質問! 社労士がお助け回答
水生 会場の方でも佐藤先生に質問したい方がいらっしゃるんじゃないでしょうか。質問がある方、どうぞ挙手をお願いします。
Q 残業代が払われていない ――公的機関で働いている社労士の知人が、働いた日数の半分以下の賃金しかもらっていないと嘆いていました。どうすればいいですか。また、佐藤先生はお金がもらえなかった経験はありますか。
佐藤 社労士なら、自分でなんとかしてください(苦笑)。働いた分は労働の対価としてもらうべきです。働いた分については賃金請求権があり、時効が2年なので、2年以内であれば支払いを求めることはできます。 私は、スタッフに対して、1分単位でちゃんと残業代を払っていますよ。
Q パートでも有休はとれる? ――妻が飲食店のパートをしています。パートでも有給休暇をとれると聞きましたが本当でしょうか。
佐藤 パートタイマーでも有休はもちろんあります。週の勤務日数に応じて、有給休暇の日数が決まります。 有給休暇は時季指定権といって、労働者が「この日、有給休暇を取りたいです」と言わないと取得できません。言いづらいかもしれませんが、勇気を出して言うしかありません。
Q 前日に休んでくれと言われて賃金は――アルバイトで働いています。翌日シフトが入っていたのに、前日に「人が足りているから、明日お休みでいい」と言われたら、賃金を請求できますか。
佐藤 請求できます。働くことが決まっていたのに、会社側の都合で一方的に休んでくださいと言われた場合、労働基準法第26条で、平均賃金の6割以上を払わなければならないと決められています。
こんなときどうする? 経営側も悩んでる
Q ブラック企業ならぬブラック社員 ――小さな会社を経営しています。うちの場合は、4月から新年度の有給休暇が付与されることにしています。ある社員が3月末に退職したいと言ってきたんですが、さらに1年分の有給休暇が発生すると知るや4月1日に退職日の変更を求められ、1年分の有給休暇をたっぷりとってから辞めました。法律的にはありだと思いますが、ブラック企業ならぬブラック社員もいるんだと痛感しています。
佐藤 そうですね。労務問題のトラブルは、だいたい言った言わないの水掛け論なんです。口頭でのやりとりは避けて、必ず書面でやりとりをすべきです。 また、退職届と退職願は違います。退職届は、働いている人が辞職すると会社にはっきり意志を示すこと。だから、人事権を持っている人間に渡った時点で、撤回はできません。 一方、退職願の場合、「辞めたいんですが、いかがでしょうか」というお伺いなので、会社側は「承諾しました」と返事をしなければならないんです。会社が返事するまではいつでも撤回できます。権利主張ばかりされると会社としても大変です。会社も社員も退職するときもウィンウィンでやれるとよいですね。
Q 労働基準法は極端に労働者びいき――私も小さい会社を営んでいます。労働基準法があまりにも労働者びいきになっているように感じていて、誰にどういうふうに相談していいか正直わかりません。社労士の先生たちに助けてもらえばよいのでしょうか。
佐藤 詳しいことは個別にご相談いただければ、お力になれると思います。 最近の働き方改革や労働法制は、性善説にもとづいています。しかし、そうではない人も中にはいます。最近の情勢は企業経営をする上で厳しいことが多いと実感しております。
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