- 2019.11.05
- インタビュー・対談
〈座談会 新人賞必勝法!〉オール讀物新人賞受賞までに学んだこと 根本昌夫×佐々木愛×嶋津輝
「オール讀物」編集部
『スナック墓場』『プルースト効果の実験と結果』で単行本デビュー
書くことがなければ家族のことを
嶋津 私のクラスでは、「ひどい句点」が絶賛されて、「姉といもうと」は、いまいちでした。
根本 そんなことはなかったですよ(笑)。嶋津さんは、最初から上手でした。いろんなタイプの小説を書いてくるんだけど、文章が安定しているから、何を書いても安心して読める。それで、ちょっと意地悪な視点が入っているのがいいんです。最初に提出した作品は、口が悪くて意地悪なおばあさんと、それが嫌で嫌で仕方がない孫娘の話でした。これは短くて、18枚くらいだったかな。嶋津さんが初めて小説を書いたのはいつだったんですか。
嶋津 教室に入ってからです。勤務先の会社の経営が傾いてきて、ちょっと暇になったんです。それで、習い事でもしようかと思った時に、文章表現がしてみたくて、根本先生の教室を見つけて入りました。
根本 教室に来る前から、何か書いていたわけではないんだよね。でも、最初からちゃんと書けていました。
嶋津 いま読むと下手で恥ずかしいです。教室に通い始めたら、書くことがない人は家族のことを書くといい、とアドバイスをいただいたんです。それで、自分の祖母がとてもアクの強い性格だったので、祖母のことなら書けるかもと思って書いたのが最初の作品でした。その後は、少し百合(女性同士の関係性を扱うジャンル)っぽい話や、離婚の話とか、いろんなものを書きました。
根本 生々しい社内不倫の話もありましたよね。
嶋津 あれは想像ですが、なかったことにしたいです(笑)。
根本 「ノー・スプラッシュ」は、高校の水泳部で飛込み競技を始めた女子が主人公の小説で、嶋津さんはこういう青春ものも書いていましたよね。
嶋津 最初の1年ぐらいは、作品のアイディアが次々浮かんできていたんです。でも、2年目以降は早くも搾り出す感じでした。書くテーマが授業で指定されるわけではないので、人生を振り返って、自分の経験の中からなんとかテーマを見つけていくような感じです。
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