- 2019.11.05
- インタビュー・対談
〈座談会 新人賞必勝法!〉オール讀物新人賞受賞までに学んだこと 根本昌夫×佐々木愛×嶋津輝
「オール讀物」編集部
『スナック墓場』『プルースト効果の実験と結果』で単行本デビュー
小説教室に入ったきっかけ
根本 5作目の「ノー・スプラッシュ」が、文學界新人賞の最終候補に残ったんでしたね。1年に5作は多いほうですが、もっと勤勉だったのは、石井遊佳さん。彼女は毎回提出していたので、新潮新人賞を受賞するまで、30作くらい読みました。
佐々木 私は月に2回の講座で、やるからには作品を毎回提出しようと決意して入ったんですが、結局、1回しか提出していません。
根本 最初に1作出すのが、意外とハードルが高いんですよ。その時の作品が、『プルースト効果の実験と結果』に収められている「楽譜が読めない」でしたね。あの時提出したものは、少し違うタイトルでしたが。しかも、あの時から原稿も相当直していますよね。かなり長くなっている。
佐々木 (400字詰め原稿用紙で)20枚くらいは増えたと思います。
根本 でも“くるぱー”という男の子が「桑田佳祐は楽譜が読めない」という呪文を教えてくれるところは、最初から入っていました。僕が読んだものは、主人公の「わたし」とくるぱーの二人が中心の、恋愛ともいえないような淡い恋の話でしたが、収録作は、「わたし」の友だちの「すみれ」も重要な登場人物になっていて、構造が重層的になっています。
佐々木さんは、アイテムやイメージの使い方がとても上手い。「楽譜が読めない」に出てくる巨大なスクランブル交差点や、新人賞受賞作「ひどい句点」の指輪や首都高といった丸のイメージは印象的でした。首都高を裸足でドライブするというのは少し作りすぎなんじゃないかと思ったんだけど、教室で聞いたら「いや、裸足で運転しますよ」という生徒もいて、驚きましたね。新人賞をとった生徒の作品は、かならず教室で取り上げて、合評するんです。
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