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<凪良ゆうインタビュー>センシティブな筆致にファン急増中。「好きに書いていいよ」が生んだ名作『流浪の月』

<凪良ゆうインタビュー>センシティブな筆致にファン急増中。「好きに書いていいよ」が生んだ名作『流浪の月』

別冊文藝春秋

『流浪の月』(凪良 ゆう)

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #歴史・時代小説

『流浪の月』(凪良 ゆう/東京創元社)

「誰かと関係を結べるというのは、とても素敵なこと。でも、それと同じぐらい、自分の意志で自分の居場所を決められるってすごいことだと思うんです。九歳の更紗は、誰かと一緒じゃないと生きていけない。でも、大人になったら?

 生きていく中で、どこかでひとりになるときは訪れるし、それは『絆』を推奨される今の世の中ではあきらかなリスクとして捉えられる。寂しさはときに人を殺す。でもそれらを覚悟してでも、とことんひとりにならないとつかめないものもあると思う。

 本当の意味でひとりになってから始まる人生、結べる関係というものがあるのではないか。他人ともやっと、一対一の関係が築けるようになるのではないか。同時に、そこから結べる関係って、一体どんなものなのだろうという疑問も湧いてきました。

 だから、事件から十五年後、大人になったふたりが再会したら、そこから何が始まるのか。私はそれが知りたいと思いました」

 問いを投げたら、答えを示してくれるのが小説だという。だから小説というサンクチュアリは徹底して、常識やモラルから自由な場所であってほしいと凪良さんは言う。

「島本理生さんの作品が好きなのですが、島本さんが書く小説には必ず世間と折り合えない女性が登場し、彼女たちはとても魅力的です。江國香織さんの作品には、不倫をしている女性がいっぱい登場するけれど、それに対する罪悪感や躊躇いは描かれない。ただ恋をし生きている様が、きっぱりと描かれている。一切の言い訳がない、その在りように惹かれます」

【次ページ 凪良流執筆法】

別冊文藝春秋からうまれた本

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版29号(2020年1月号)
文藝春秋・編

発売日:2019年12月20日

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