インタビューほか

安倍政権を倒せるのは、もはやこの男しかいない

常井 健一

中村喜四郎──25年の沈黙を破って伝説の男がついにすべてを語った!

『無敗の男 中村喜四郎 全告白』(常井 健一 著)

 三木武夫が総理大臣だった頃に行われた一九七六年の衆院選で初当選。以来、一度として落選することなく当選を重ね、令和の御代が幕を開けた二〇一九年五月には議員勤続四十年を迎えた。小沢一郎や森喜朗の二期後輩、小泉や加藤紘一の一期後輩、麻生太郎や亀井静香、船田元の一期先輩に当たる。「同期の桜」には後藤田正晴、鳩山邦夫、与謝野馨、中川秀直がいた。令和元年の国会では、小沢、野田毅、山東昭子に次ぐ古株であり、他の七百人超の議員はみな後輩に当たる。

 地元は、関東平野のどまんなか、古河市や結城市を中心とする茨城県の南西部である。その彼が、新潟行きの新幹線に乗って魚沼に向かおうとした理由の一つは、その翌日に与野党対決型の新潟県知事選が告示されようとしていたからだ。

 その春、六十九歳を迎えた中村は突如目覚めた。四半世紀近くも無所属を貫き、あらゆる権力闘争から一線を画してきたが、安倍一強政治に我慢ならず、立憲民主党や共産党が呉越同舟で推す前社民党県議の女性候補の応援に動いたのである。告示直前、原発ゼロ運動の一環で県内に講演に来た小泉と、明日から神輿に担がれる彼女とをがっちり握手させる場面を仕込み、最大の争点だった原発再稼働問題で共闘を誓い合う演出を手掛けた。

 そういうわけで、冒頭の再会シーンとなる。

 中村はその後も三度にわたって新潟に入り、非自民系の陣営が苦手とする地上戦、いわゆる“ドブ板選挙”を展開した。

 彼の政治の原点は「田中角栄秘書」ということで、新潟とは浅からぬ縁があった。角栄ゆかりの有力者や相手陣営の幹部たちと極秘裏に接触し、保守票の切り崩しを試みた。結局、野党系候補は知事選で惜敗を喫したが、自民党時代に政局巧者として鳴らした中村は昔取った杵柄で「古巣」を追い込む確かな手ごたえを得た。

「私は自由民主党に二十年ほど籍を置いていました。その間に田中角栄さん、竹下登さん、中曽根康弘さん、福田赳夫さん、こういった人たちの政治を見て参りました。あの頃の自民党政治は権力を濫用することなく、権力を動かすことには抑制的で、常に自己批判をし、何か問題が起きたらばそれを解決していくだけの自浄能力を持っていました。
 そして、自民党には保守派からリベラル派まで幅広くいて、反対する者がいたら排除せずにみんなの意見を丁寧に聞いていくだけの責任を持とうという姿勢が、昔はありました。
 しかし、今、私は無所属となり、立憲民主党・無所属フォーラムという会派に入って自民党を見てみると、数の力にモノを言わせ、権力を振り回し、政治主導という名の下ですべての問題を押し切る。自民党には政権を担当するだけの謙虚さがまったくなくなってきた。民主主義とは程遠いところまで行ってしまった」

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