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鼎談 綿矢りさ×朝吹真理子×村田沙耶香 深夜二時から始まる話

鼎談 綿矢りさ×朝吹真理子×村田沙耶香 深夜二時から始まる話

綿矢 りさ ,朝吹 真理子 ,村田 沙耶香

文學界5月号

出典 : #文學界

「文學界 5月号」(文藝春秋 編)

 村田 人生に残る傑作だと思うよ。

 綿矢 殺人鬼の衣装と化粧なので、全部装備したら自分でもちょっと怖かった。出来上がりの姿を鏡で見て、「こいつヤバいな」って思ったもん。想像以上に禍々しい衣装と化粧だなと思った。ああいうものになるのは、やっぱりちょっと怖い。

 朝吹 うん。綿矢さん、ふだん邪悪なところ皆無なのに、あのときは心に巣食ってる邪悪さが(笑)かもしだされて。私がとても好きなのは、このふたりの写真、なまはげとペニーワイズが伊勢丹リ・スタイルの紙袋を片手に歓談しているという。

 村田 ほんとうに、バラバラだったよね。世界観。

 綿矢 「みんながなりたいものになろう!」っていうコンセプトの結果、誰も寄せてこなかったという。

 村田 それがほんとうに楽しかった。私はまったくコスプレというものをしたことがなくて、空想ではなく実際に何かに変身するという発想があまりなかった。それまでコスプレって、プロのレイヤーさんがものすごい技術でやるものだと思ってたから、こんなふうにいきなり自分が楽しめると思ってなくて。よく考えたら獅子舞とかもすごい好き。次は獅子舞がいいな。

 朝吹 獅子頭を持って踊るわけだから……「獅子舞」のメイクはできないのでは?

 村田 ……あっ。

(二月六日収録)


構成 倉本さおり/撮影 鈴木七絵


綿矢りさ(わたや・りさ)
一九八四年京都府生まれ。二〇〇一年「インストール」で文藝賞を受賞し、デビュー。〇四年「蹴りたい背中」で芥川賞、一二年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞。著書に『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』『意識のリボン』『生のみ生のままで』などがある。

朝吹真理子(あさぶき・まりこ)
一九八四年東京都生まれ。二〇〇九年「流跡」を「新潮」に発表し、作家デビュー。一〇年、同作でBunkamuraドゥマゴ文学賞、一一年「きことわ」で芥川賞を受賞。著書に『TIMELESS』、エッセイ集『抽斗のなかの海』などがある。

村田沙耶香(むらた・さやか)
一九七九年千葉県生まれ。二〇〇三年「授乳」で群像新人文学賞優秀作を受賞し、デビュー。〇九年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、一三年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、一六年、「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。著書に『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

 

この続きは、「文學界」5月号に全文掲載されています。

文學界 5月号

2020年5月号 / 4月7日発売
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