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<真下みことインタビュー>辛くても悲しくてもいつも朗らかに歌って踊るアイドルという生き方への尊敬

<真下みことインタビュー>辛くても悲しくてもいつも朗らかに歌って踊るアイドルという生き方への尊敬

別冊文藝春秋

『#柚莉愛とかくれんぼ』(真下 みこと/講談社)

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #小説

『#柚莉愛とかくれんぼ』(真下みこと/講談社)

 柚莉愛が吐血した直後から、ネット上では、ファンたちによってあらゆる角度からその謎が検討される。血を吐いて倒れた理由、その後に映し出された「#柚莉愛とかくれんぼ」という謎めいた言葉の解釈、その言葉が書かれた画用紙を持っていたのは誰か……騒ぎが大きくなる中で@TOKUMEIというアカウントの主が議論を誘導しファンを煽り、ついに炎上に至る……。

 一方で「となりの☆SiSTERs」の人間関係にも暗雲がたちこめていた。柚莉愛がセンターを務めているが、それが気に食わない萌、その萌を窘める久美。三人の本音がどこにあるのか、互いに疑心暗鬼になる様子が実にリアルだ。この三人の繊細かつヒリヒリする関係性が、炎上事件にどう絡むのか読者の想像力を掻き立てる。それにしてもなぜこんなに、リアルに三人のキャラクターを描き出せるのか?

「小説を書くときに一番幸せなのが、設定を考える時間です。この小説の中には出てきませんが、となりの☆SiSTERsのデビュー曲の歌詞とか、彼女たちが憧れるアイドル如月由香の曲も作ってみたり。パワポで設定を書いていたら20ページになっていました。設定を作っていると、頭の中にしかなかったものが、現実になりそうな気がして楽しいんです」

 如月由香の曲も作る……とは文字通り作曲までしたということなのだそうだ。真下さんにとっての創作とは?

「曲作りは実は中学生のころからしていて、オーディションに音源を送ったこともありました。箸にも棒にも掛かりませんでしたが(笑)。小説の方は今作が二度目の長篇で、執筆中は、楽しい、というよりは辛いことの方が多かったかもしれません。でも、脳がいつもと違う動きをして何か脳内物質が出てる感じがしました(笑)。いつかは自分でアイドルをプロデュースしてみたいと思っていますが、小説の次作の構想もあります。ジャンルを問わず何かを作り続けていきたいですね」


ました・みこと 1997年埼玉県生まれ。早稲田大学に在学中。2019年『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を受賞し、デビュー。

別冊文藝春秋からうまれた本

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版31号(2020年5月号)
文藝春秋・編

発売日:2020年04月20日

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