2018年の刊行以来、現在3作を数える堂場瞬一さんの人気警察小説「ラストライン」シリーズ。主人公は、50歳を迎えて定年まで10年となったベテラン刑事の岩倉剛。行く先々で“事件を呼ぶ”と言われる彼が、捜査一課より都内の南大田署に配属となって間もなく、また事件が起こる――。
このたび、第1作『ラストライン』のテレビ東京でのスペシャルドラマ化が決定。岩倉役を村上弘明さん、バディを組む新米刑事・伊東彩香役を志田未来さんが演じます。
撮影現場にもお邪魔した著者の堂場さんに話を聞きました。
岩倉はベテラン刑事であるが故に、違法・合法の線引きが曖昧なことが分かっていて、敢えてギリギリの線で捜査をすることもよくあります。
村上さんは「岩倉の優先順位は、あくまで真実の探求と犯人の逮捕。そのためには手段を選ばず、少々ドラスティックに法すれすれのことまでやってのける。まさにこんな刑事がいてくれたら」とコメントをしてくださいましたが、原作も読んでくれたようで、その辺りのニュアンスを汲んでいただき幸いです。ただ、それだけではない複雑なキャラクターなので、どんなふうに表現していただけたのか楽しみです。
志田さん演じる彩香は、原作では巣立って一人前になっていきますが、映像的には二人の絡みをもっと見たいですね。小説を書くときに、実在の人物をモデルにしてキャラクターを作ることはないのですが、いざ映像化されたものを見ると、「確かにイメージ通りだな」と思えるのは不思議です。もちろん、きちんとキャラクターを掴んでいただけたからだと思いますが、きっちり“相棒”として良いコンビネーションを見せてくれるのではないでしょうか。
今回、お二人以外にシブい配役の方たちが多く、豪華ですよね。昔の事件を掘り起こす話になっていくので、映像化の際はおそらくベテランの俳優さんが多くなるだろうと思っていました。結果、原作のイメージが上手く映像に生かされたのではないでしょうか。
撮影現場にはこれまで何度か伺ったことがありますが、今回は特に緊張感が強かったように思います。刑事課で話し合いをしている場面など、村上さんはいかにも岩倉っぽく、静かに話しているのですが、リアルな緊張感があるという。勝村政信さん演じる“年下の上司”も、微妙な人間関係の雰囲気が良く出ていて、それこそベテランの俳優さんたちの力かもしれません。
村上さんからは「是非、次の作品も」と言っていただきましたが、原作者としてとても嬉しいお言葉でした。