治療薬は、もしかすると早道があるかもしれないとして研究が進められている。既にある他の病気の治療薬の中に、効果のあるものが見つかれば、新型コロナウイルスの治療薬として投与できるからである。例えば、別のウイルスの増殖を抑える薬が同じように新型コロナウイルスの増殖も抑えて効果があるかもしれないと期待されている。一定の有効性を示したとする研究はみられるが、決定的に効果のあるものは既存の薬の中から見つかっていないのが現状である。

　既存薬ではなく新型コロナウイルス患者の治療をターゲットにした全く新しい薬の開発も進められている。新薬開発には一般に長い時間が必要になるが、最新技術を駆使してアプローチし、いち早く新薬に結び付けようという試みも紹介する。

　ワクチンや治療薬は、新型コロナウイルスの問題を「抑えることの難しい感染症」から「一般的な感染症の一つ」へと変える、あるいは近づける切り札となりうる。今後越えなければならない課題は少なくないが、それを切り崩し、解決への道を拓くために専門家が何を考えて取り組んでいるのか、関心の高い点であろう。