私はテストをする側なので、質問内容も、どう答えたら、どういう結果になるのかも分かっています。そこで大学時代に受けたテストの結果を夫と照らし合わせました。
つねに平穏無事だったとまでは申しませんが、10年以上、大きなトラブルもなく今にいたるまで結婚生活を送ることができているのは、最初に自分と相手を知ることができたからだと思います。
そうした私自身の体験からも言えるのは、夫婦がお互いに自分を理解し、同時に相手を理解すれば、それまで理不尽だと感じていた不満や怒りは解消するということです。人間というのは、問題の原因が理解できれば相手を許すことが出来るのですから。
この本は夫婦仲が悪くなる原因が、妻と夫のどちらにあるのかを分析するのが目的ではありません。これまでのカウンセリング経験、心理学のメソッドなどを踏まえて、妻と夫のギャップがどこから生じるのかを解明していくというものです。
「なぜ顔を合わせるとケンカばかりになるのだろう?」
「妻に文句ばかり言われてしまうのはなぜなのか?」
「なぜ夫は私の話をきいてくれないのだろう?」
そんな夫婦にありがちな疑問を解いていけば、今まで不満のタネでしかなかった相手の言動の奥に、相手の良さや、自分に対する思いが見えてくるはずです。
なかには本書の中で「男性は~」「女性は~」と書かれていることが、自分には当てはまらないと感じる方もいるでしょう。当然ながら人それぞれなので、一般的な傾向に当てはまらない方はいます。私自身、女性なのですが、考え方には男性的な傾向があると思っているのですから。
とはいえ、この本では私のカウンセリング経験や心理学の知見を踏まえて、かなりの割合の男女に当てはまる事例を取り上げています。自分の特徴は自覚するのが難しいもの。「私には当てはまらない」と否定的にとらえるのではなく、「もしかしたら自分も……」と思いながら読んだほうが、得るものが大きくなるのではないでしょうか。
この本の中で何か一つでも参考になることを見つけて頂けたらうれしく思います。
なお相談者のプライバシーを保護するため、本書で紹介する事例は個人が特定されないよう一般的なものに変えています。
(「はじめに」より)