惜しまれつつも90歳で亡くなった半藤一利氏。昭和史の研究家としての硬派なノンフィクションから、洒脱なエッセイそして座談の名手としての対談集など幅広い著作を遺してくれました。作家として、そして社の偉大なる大先輩として、その功績を偲んで文春文庫から厳選してご紹介します。
『日本のいちばん長い日 決定版』
終戦をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言で再現する傑作ノンフィクション
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。役所広司主演で映画化された不朽の傑作
『ノモンハンの夏』
エリートが招いた悲劇。参謀本部そして関東軍の罪と罰は誰が背負ったのか?
エリート集団が己を見失ったとき、満蒙国境での悲劇が始まった。司馬遼太郎氏が最後に取り組もうとして果せなかったテーマを、共に取材した著者が、モスクワのスターリン、ベルリンのヒトラーの野望、中国の動静を交えて雄壮に描き、混迷の時代に警鐘を鳴らす。
『漱石先生ぞな、もし』
漱石先生は義理の祖父。漱石についてのよもやま話、ちょっといい話満載
歴史探偵の異名をとる著者にとって漱石先生は義理の祖父である。誰しも読んだことのある文豪の名作から知られざるエピソードを発掘。斬新かつユーモラスな発想で、文豪の素顔に迫ったエッセイ集。新田次郎文学賞受賞作。
『ソ連が満洲に侵攻した夏』
百万邦人が見捨てられた満州での悲劇の真相に迫る
日露戦争の復讐の野望に燃えるスターリンと原爆を投下して戦後政略を画策する米英との間で無策の日本軍首脳は、この地にあった百万邦人を見棄てる。それは日本の軍隊が国民のための軍隊ではなく、国体護持のための天皇の軍隊であったからだと、著者は結論づける。
『日本史はこんなに面白い』
歴史探偵が16人のゲストと語り合う、極上の日本史夜話
聖徳太子の人物像を巡り侃侃諤諤(かんかんがくがく)、昭和天皇の祈りについて白熱談義。半藤一利が、その道の碩学16人と縦横無尽に語り合う対談集。蝦夷は出雲出身? ハル・ノートの解釈には誤解があった? 愉快な遣り取りに、歴史がますます楽しくなる1冊。
『あの戦争と日本人』
日本の大転換期を語りおろした〈戦争史〉決定版
日露戦争が変えてしまったものとは何か。戦艦大和、特攻隊などを通して見据える日本人の本質を語り尽くす。
『昭和史裁判』
リーダーたちはどこで誤ったのか? 加藤陽子との 白熱対談!
太平洋戦争開戦から70年。広田弘毅、近衛文麿ら当時のリーダーたちはなにをどう判断し、どこで間違ったのか。半藤“検事”と加藤“弁護人”が失敗の本質を徹底討論!
『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
日米戦争に反対しながらの真珠湾攻撃という決断をした司令長官の苦悩
「あの戦争」の最大の英雄にして悲劇の人の真実を、半藤さんが熱をこめて語る。役所広司さんが五十六役となり、映画化もされた名作。
『そして、メディアは日本を戦争に導いた』
歴史は繰り返すのか? 昭和史の教訓を今こそ学べ
保阪正康との昭和史最強タッグによる「戦争とメディア」の検証、決定版対談! 石橋湛山、桐生悠々ら反骨の記者たちの話題も豊富な、警世の一冊。
『ナショナリズムの正体』
昭和史から学ぶ「真の愛国者」入門書
反日に沸き立つ中韓。日本で炎上するヘイトスピーチ。その根源にあるものは何か? 昭和史を知り尽した両者が歴史を糧に語り尽くす。
『仁義なき幕末維新』
“賊軍”とされた歴史のアウトローたちをめぐる、菅原文太との仁義なき対談集
「歴史の片隅に追いやられた敗者に惹かれる」と語る文太さん、いまも続く「薩長史観」にもの申す昭和史家・半藤氏が、お互い賊軍の子孫として意気投合。「賊軍」となった西郷隆盛、使い捨てにされた「赤報隊」相楽総三など明治維新の巨大な謎に挑む、歴史座談。
『昭和史の10大事件』
意外な顔合わせのお二人は、なんと東京下町の高校の同窓生(ただし30年違い)。
宮部みゆきさんの歴史ミステリー『蒲生邸事件』の題材でもある二・二六事件から、東京裁判、金閣寺焼失、第五福竜丸事件と『ゴジラ』、日本初のヌードショーまで! 硬軟とりまぜザックバランに語った痛快対談。歴史探偵と作家の眼で「昭和史」が立体的に見えてきます。
『昭和史をどう生きたか』
「半藤昭和史」のエッセンスがここに! 戦争と歴史をめぐる12人との対談
澤地久枝、保阪正康、戸髙一成、加藤陽子、梯久美子、野中郁次郎、吉村昭、丸谷才一、野坂昭如、宮部みゆき、佐野洋、辻井喬――。この12人と、話をききだす名手の半藤さんが、あるときは指揮官たちの戦後を、あるときは昭和の艶笑話を丁々発止で繰り広げます。豊かな時間を味わった後、「で、お前さん方は平成のその後を、どう生きるんだい?」と問われていることに気づく一冊です。
『指揮官と参謀 コンビの研究』
陸海軍のコンビの分析でわかった現代に必要なリーダーシップ像
陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現代の組織における真のリーダーシップ像を探り、新しい経営者の条件を洗い出す。
『半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義』
世界の宮崎駿×歴史探偵・半藤一利が語り尽くす!
ゼロ戦設計士・堀越二郎をモデルに『風立ちぬ』を制作した宮崎駿が、敬愛する半藤一利のところへ話を聞きに行く! 完全オリジナル。
-
追悼 「歴史探偵」半藤一利 「あの戦争」の真実を語り継いできた文春新書の11冊
2021.01.14特集 -
半藤一利の警告「政治家のウソを見逃すなかれ」
2021.01.13コラム・エッセイ -
あの夏の戦争を忘れないために──戦争の現実を知る文春文庫の15冊
2020.08.06特集 -
「愛国」の衣をまとっていればワルでも「無罪」なのか?
2017.09.27書評 -
昭和史の中の悪の構造をあぶり出す
-
半ちゃんの知りたかったソ連
-
『李王家の縁談』林真理子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/12/4~2024/12/11 賞品 『李王家の縁談』林真理子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。