書評

昭和史の中の悪の構造をあぶり出す

文: 佐藤 優

『21世紀の戦争論 昭和史から考える』 (半藤一利・佐藤優 著)

『21世紀の戦争論 昭和史から考える』 (半藤一利・佐藤優 著)

 元号とは〈年につける称号。年号〉(『明鏡国語辞典』大修館書店)のことだ。わが国では、元号について法制化がなされている。この法律は本文二項しかない短いものだが、他国にはない日本の特徴が端的に示されている。

 

法律第四十三号(昭和五十四[一九七九]年六月十二日)

元号法

1 元号は、政令で定める。

2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。

附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。

 

 昭和は、昭和天皇の在位期間である一九二六年(昭和元年)十二月二十五日から、一九八九年(昭和六十四年)一月七日までだ。ただし、昭和元年と昭和六十四年は、いずれも使用期間が七日間だったために、実際の昭和の時間は六十二年と十四日になる。

 昭和という時代が終わってから四半世紀を経た。しかし、意味の上での昭和は未だに終わっていない。さらに意味の上での昭和は、二つに分かれる。昭和の前半は、あの戦争に敗北するまでだ。当時のわが国は、大日本帝国という名称の帝国だった。数年の過渡期はあるが、あの戦争に敗北した後の日本国は、建前の上では、自由、民主主義、市場経済や人権など先進国との基本的価値観を共有する新しい国になった。もっとも、現行の日本国憲法が大日本帝国憲法の改正手続きによって成立していることに象徴的なように、あの戦争の前と後の日本には、明らかな連続性が存在する。

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21世紀の戦争論 昭和史から考える
半藤一利、佐藤優・著

定価:本体830円+税 発売日:2016年05月20日

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