SNSトラブル、ゲーム依存、性被害、不適切動画――スマホの罠から子どもを救う実践的教育法とは?
- 2021.09.20
- ためし読み
何らかの携帯電話を持つ一〇歳~一八歳のスマホ(スマートフォン)所有率が九三.七%(注1)に達し、SNSやオンラインゲーム、動画視聴は子どもの常識になりつつある。一方で長時間利用による健康障害や学力低下、友達関係での誹謗中傷などの問題も多発する。「小学生がオンラインゲームで知り合った男に監禁された」、「SNSに起因する犯罪被害が増加」、そんなニュースが報じられることも珍しくない。
こうした状況に、子を持つ親の多くは不安を募らせているだろう。SNSで怪しい人とつながっていないか。戦闘系ゲームに夢中だが、この先大丈夫なのか。食事中でもユーチューブを見つづけるが、もしや依存しているのか。
次から次へと心配事が湧き起こるが、同時に「何をどうすればいいのか」と悩んではいないだろうか。実際、親たちは子どものスマホ利用に関するさまざまな事態に戸惑い、対応策を探しあぐねている。
子どもがやっていることがわからない
私は長年、子どもの現場を取材し、特にネットやスマホ関連の問題を追ってきた。取材の過程で親に会うことも多いが、堰を切ったように出てくるのが「わからない」という言葉だ。
特に、「自分はスマホに詳しくないので、子どもがやっていることがわからない」という声は多い。子どものほうはSNSで友達と交流し、知らない人とも抵抗なくやりとりする。日常的なコミュニケーションにとどまらず、動画を見たり、最新情報を得たり、興味のあることを検索したりする。
一方の親は基本的知識や実体験に乏しく、子どもが話す内容も、使っている仕組みもよくわからない。おまけにネットやスマホの世界は変化が激しい。最新アプリだ、流行りのコンテンツだと言われても、ほとんど追いつけない「スマホ弱者」だ。
「なぜ子どもが知らない人と仲良くなったり、会いに行ったりするのかわからない」という声もある。たとえば、「五〇歳の男が小学生の女児とSNSで友達になり、裸の写真を送信させた」という報道があったとする。怖い、気持ち悪いとは感じても、どんなふうに友達になるのか、よりによってなぜ裸の写真を送信するのか、経緯や理由がわからないのだ。
「子どもが親の言うことを聞かないので、どうしていいのかわからない」という相談も寄せられる。利用ルールを作っても子どもが守らない。何度注意しても効果がない。いつも不機嫌で反抗的。親にウソをついている。深夜までゲームをするので、毎朝学校に遅刻する。そんな調子で、子どものスマホ利用をどう管理し、監督すればいいのかと悩むのだ。
そうして親たちは、次第に子どものスマホ教育をあきらめていく。自分はスマホに詳しくない、だから何も教えられないと思い込み、つい子ども任せにしてしまう。
注意しても言うことを聞かないからと見て見ぬふりをするうちに、子どものやりたい放題にさせ、気づけば手に負えなくなったりする。
SNSトラブルや犯罪被害はどこか他人事のようで、みずから危険性を調べたり、積極的に注意喚起したりはしない。やがて子どもがスマホで何をしているのか、どんな問題を抱えているのか「もう全然わからない」という事態を招く。
だが実際には、ツイッターやインスタグラムをやったことがなくてもSNS教育はできるし、オンラインゲームなど知らなくてもゲーム依存を防げる。ではいったいどうすればよいのか、本書はその方法を具体的に、そしてわかりやすく提示するものだ。
(注1)スマホ所有率=『第一三回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査』デジタルアーツ・二〇二〇年四月
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