上橋菜穂子さんによる、長編としては『鹿の王 水底の橋』から3年ぶり、新たな世界を描いた物語としては『鹿の王』以来7年ぶりとなる、新刊小説の『香君』は、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きる主人公・少女アイシャが、虫害の発生に食糧危機に直面する人々を救おうとする物語です。
今回、装画は、草花のモチーフを数多く手がけ、カラフルな色彩と美しさが特徴のmiaさんが担当。上巻は主人公アイシャが感じている、植物と虫のコミュニケーションをモチーフに、美しく咲き誇る花々と戯れる蝶やテントウムシを描くことで、昼間のイメージに。下巻では、物語で重要な役割を果たす「オアレ稲」と鳥たちを夕映えの雄大な山を背景に描き、人々が享受する大地の豊かさと、物語の壮大さをイメージしています。
miaさんからのコメント
香りの世界を通してみる出来事に思わず鼻が動いてしまいました。装画は野草やオアレ稲、虫や鳥たちが賑やかに生き生きと香りたつシーンを表現しました。こんなにも美しい物語の世界を描ける機会を頂きとても幸せです。
『香君』あらすじ
遥か昔、〈神郷〉から降臨した初代〈香君〉が携えてきたとされる奇跡の稲〈オアレ稲〉の力によって、多くの国を従え、繁栄を誇って来たウマール帝国。
その属国〈西カンタル藩王国〉の藩王の孫、15歳の少女アイシャは人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きていた。
祖父の失脚の後、彼女の運命は大きく変転していき、やがて、ウマール帝国を庇護する美しい活神である当代〈香君〉の元で働くことになる。
神授の稲〈オアレ稲〉によって人々は豊かな暮らしを謳歌していたが、実はこの稲には恐ろしい性質があった。
害虫はつかぬはずのオアレ稲に、あるとき不思議な虫害が発生し、この稲に過度に依存していた帝国は、凄まじい食糧危機に見舞われる。
アイシャは当代〈香君〉と共にオアレ稲の謎に挑み、人々を救おうとするのだが――。
「香り」と植物や昆虫の生態をテーマに描く壮大なファンタジーの誕生!
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著者プロフィール
上橋菜穂子(うえはし なほこ)
1962年東京生まれ。 文学博士。川村学園女子大学特任教授。
1989年『精霊の木』で作家デビュー。 著書に『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、『獣の奏者』『鹿の王』など。 野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞など数多くの賞に輝き、 2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。2020年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞を受賞。
医学博士・津田篤太郎との共著『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』もある。
イラストレータープロフィール
mia(みあ)
福井県生まれ、東京都在住。京都嵯峨美術短期大学 ビジュアルコミュニケーションデザインⅡコース卒業後、京都嵯峨芸術大学イラストコース教務助手・グラフィックデザイナーなどを経て、イラストレーターとして活動。カラーインクとCGを用いた水彩タッチで、フェミニンでカラフルな世界観を得意とする。
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