芸能人、文化人などの著名人50人が「大切なあの人に贈りたい本」をセレクトした『ほんのきもちです　2022』が発売された。本書は「本を贈る」文化の定着、活字文化継承を目指した第二回「ギフトブック・キャンペーン」の一環で、2020年に行われた第一回キャンペーンでは、全国の書店1500店舗で実施している。

『ほんのきもちです　2022』では、計160冊が選ばれ、選者ごとにコメントが紹介されている。さて、文春からはどんな本が、どんな素敵なコメントで紹介されたかというと。。。

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指揮者　大野和士

『名画の謎　ギリシャ神話篇』　中野京子　文春文庫　

入院することになった友人に贈った一冊。絵画における神話の世界が、悲喜こもごもの人間社会と共通点があることを、筆者は説得力とユーモアに富んだ筆致で鮮やかに描く。また選ばれた艶やかな図版には、点線でここに注目というおまけまで。人間臭さがアートの中に散りばめられていることを知ったくだんの友人は、おかげで予定よりも早く退院し、人間社会の中に颯爽と帰っていった。

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歌舞伎役者　尾上菊之助

『壬生義士伝』（上・下）　浅田次郎　文春文庫

渡辺謙さん主演のドラマを拝見し、小説を手に取りました。新撰組で一番強かった男の背中にあるものはあまりにも切ない。読むたびに感動する一冊です。

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東洋大学水泳部監督 競泳日本代表元監督　平井伯昌

『坂の上の雲』（全8巻）　司馬遼太郎　文春文庫

合宿には必ず携行し読み返す。重要な勝負毎に読み返す箇所が異なり、この度の東京五輪では、日本海海戦の七段構えの戦法を編み出すような状況だった。正岡子規が秋山真之に「運用が日本人であれば、それは日本式ぞな」と一言。日本競泳は日本人の運用で金メダルを取るというプライドを持って今回も五輪に臨んだ。

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ギタリスト　村治佳織

『古くて素敵なクラシック・レコードたち』　村上春樹　文藝春秋

村上春樹さん所有のクラシック音楽のレコードの中から選ばれた486枚。一つの曲ごとに複数の指揮者や奏者のレコードが紹介されている。世の移り変わりに流されず、レコード蒐集と鑑賞を続けられてきた村上さんの言葉の深み。クラシック音楽を聴くことが好きな人はもちろんのこと、これから聴いてみたいと興味を持っている人におすすめしたい。

『ヴェネツィアの宿』　須賀敦子　文春文庫

ノンフィクションものが好きとお伝えしたところ、作家の方から「それだったらこちらもおすすめ」と贈っていただいたこの本。丁寧に記憶と向き合っている作家の御心。私にとっては本を贈られる喜びを象徴する一冊。受けたバトンをまたどなたかに渡したい。

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この他、『ほんのきもちです　2022』には下記の著名人が選んだ書籍が紹介されています。

（五十音順・敬称略）
秋元里奈／阿刀田高／池坊専好／石坂浩二／磯田道史／内館牧子／内原智史／大塚朝之／大野和士／岡﨑裕子／小川後楽／押切もえ／尾上菊之助／加来耕三／梶田真章／金子柱憲／国谷裕子／隈研吾／小泉武夫／幸田真音／小宮山宏／小山薫堂／金剛永謹／三枝成彰／櫻田謙悟／重森千靑／紫舟／千玄室／橘・フクシマ・咲江／田中昭德／團紀彦／遠山正道／中川政七／長坂常／仲道郁代／中村孝則／幅允孝／平井伯昌／マッキー牧元／松岡茂樹／南美希子／宮内義彦／村治佳織／茂木健一郎／茂木友三郎／茂山あきら／諸田玲子／YOU／湯木俊治／養老孟司／横川正紀 ほか、主要書店員、図書館員 10 名

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