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12月号の特集は〈本屋が選ぶ時代小説大賞〉&〈冬の豪華読切小説〉。万城目学さんの野心作は京都を舞台に一挙230枚!

12月号の特集は〈本屋が選ぶ時代小説大賞〉&〈冬の豪華読切小説〉。万城目学さんの野心作は京都を舞台に一挙230枚!

文:「オール讀物」編集部

「オール讀物」12月号


ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ ,#歴史・時代小説

本日発売になった「オール讀物」12月号は、年末恒例の<本屋が選ぶ時代小説大賞><冬の豪華読切小説>の二本立ての大特集でお届けします。そして今号から天童荒太さんの警察小説「ジェンダー・クライム」もスタートしました。

「オール讀物」12月号

第12回を迎えた本屋が選ぶ時代小説大賞に満場一致で選ばれたのは、木下昌輝さんの『孤剣(こけん)の涯(は)て』(文藝春秋)。作品の主人公は老境にあるかつての剣豪・宮本武蔵。大坂の陣の前夜、大御所・徳川家康が「五霊鬼の呪い」を被ったことがわかり、その呪詛者の探索を依頼されるところからはじまる――著者のオール讀物新人賞受賞作「宇喜多の捨て嫁」からはじまった、戦国サーガのクライマックスともいえる本書は、二転三転する謎解きの面白さ、伝奇的なエンタメ性が高く評価されました。

大阪城を背景にした木下昌輝さん

ほかにも充実の候補作品、赤神諒さんの『はぐれ鴉』(集英社)、今村翔吾さんの『幸村を討て』(中央公論新社)、梶よう子さんの『広重ぶるう』(新潮社)、谷津矢車さんの『北斗の邦へ翔べ』(角川春樹事務所)を目利き書店員さんたちは、どのように読んだのか!? 今年はもちろん、来年以降の本屋のトレンドや注目作家&作品など読みどころが満載です。

過去の本屋が選ぶ時代小説大賞受賞者からは、浅田次郎さん川越宗一さん澤田瞳子さんが、「歴史小説の愉しみ」を縦横無尽に語り合い、澤田さん(「沈む萩」)、永井紗耶子さん(「空(くう)の祈り」)、砂原浩太朗さん(「秋江賦(前篇)」)が、いずれも読切で競作となりました。

そして充実の読切小説が並ぶ中でも、注目は万城目学さんが本能寺の謎に挑んだ「六月のぶりぶりぎっちょう」。長年温めてきたアイデアが結実した野心作で、一挙230枚まるごとの掲載となりました。京都ツアーに出かけた私が眠りから目覚めると、そこは全く見知らぬ館で次々に信じがたい出来事が……万城目ワールド全開、唯一無二の快作を読み逃すわけにはいきません!

個性的なキャラクターたちの正体はいったい? Ⓒいとう瞳

さらに大病から復活し、ますます創作意欲を燃やす夢枕獏さんが新境地として「ぜひとも書きたい」と意気込む、短編新シリーズ<おくのほそみち>第一話「蘇詛虜神(そぞろがみ)」、日大理事長就任以来、初の小説執筆となった林真理子さんの「徳川慶喜家の嫁」は、ご自身のベストセラー『李王家の縁談』のスピンオフ、唯川恵さんの「名残りの雨」、伊与原新さんの「金の卵の衝突実験」と、円熟の筆がいずれも冴えわたります。

多忙な中でも「小説を書くのは楽しい」と語る林真理子さんと夢枕獏さん

今号から新連載としてはじまった、天童荒太さんの「ジェンダー・クライム」は、事件裏に潜む性差の不均衡を背景に刑事二人が、世の中の病理と事件の謎に迫ります。同じく連載警察小説では乃南アサさんの「緊立(きんた)ち」、今野敏さんの「タイペイアセット」も毎号緊迫の展開となっており、三者三様の刑事たちの矜持に胸が熱くなることでしょう。

読切から連載までぎっしり詰まった「オール讀物」12月号で、様々な読書の愉しみを存分に味わってください。


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単行本
孤剣の涯て
木下昌輝

定価:1,980円(税込)発売日:2022年05月10日

電子書籍
宇喜多の捨て嫁
木下昌輝

発売日:2017年04月28日

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