第2回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」選考会は、令和4年12月1日、文藝春秋本館にて行われ、下記の通りに決定致しましたので、ご報告させていただきます。
奥田亜希子『求めよ、さらば』(KADOKAWA)
著者プロフィール
奥田亜希子(おくだ・あきこ)
1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年、『左目に映る星』(「アナザープラネット」を改題)で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『愛の色いろ』『愉快な青春が最高の復讐!』『白野真澄はしょうがない』『クレイジー・フォー・ラビット』などがある。
本賞は、大人がじっくり読める質の高い恋愛小説を発掘し、読者の皆様にひろく届けることを目的として創設されました。令和3年10月1日から令和4年9月30日に刊行された単行本の中から、北上次郎、吉田伸子、瀧井朝世の3氏の推薦をもとに候補作5作を決定しました。
本年度の選考委員は、大塚真祐子(三省堂書店成城店)、加藤ルカ(有隣堂)、川俣めぐみ(紀伊國屋書店横浜店)、沢田史郎(丸善お茶の水店)、山本亮(大盛堂書店)の5氏が務めました。
選考の詳細は、「オール讀物」2023年2月号(2023年1月20日発売)に掲載されます。
奥田亜希子さんより
私が一生のテーマとして小説に書き続けるのは、「孤独」かもしれない、と遠くの空を見つめながら考えていた、約十年前の自分に、違うよ、と今、声をかけたい。
おまえが惹かれているのは「孤独」ではなく、誰かに、もしくはなにかに、一方的に思いを寄せる「片思い」という現象であり、そこにはあらゆる気持ちが矛盾なく詰まっているようで、実はおまえの心はぞくぞくしている。「片思い」は感情の坩堝。あの日、おまえの視線の先にあった「孤独」は、その中の一要素に過ぎない。
私にとって、「片思い」を書くことの面白さを再認識するきっかけとなった作品が、「恋愛小説」の賞に選ばれましたこと、心より嬉しく思います。
第2回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」候補作
『きみだからさびしい』(文藝春秋)大前粟生
『求めよ、さらば』(角川書店)奥田亜希子
『アナベル・リイ』(角川書店)小池真理子
『汝、星のごとく』(講談社)凪良ゆう
『恋愛の発酵と腐敗について』(小学館)錦見映理子
オール讀物編集長・川田未穂より
2022年は世界的にも国内でも激動の一年間であり、書店店頭での小説をとりまく状況は非常にきびしいものだったようです。そんな時だからこそ、第2回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」の議論は一層白熱し、大賞を真摯に選ぶことができたように感じます。
奥田亜希子さん、おめでとうございます。多くの読者の皆さまに『求めよ、さらば』が、届くことを願っています。
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