- 2023.03.30
- 特集
ジェーン・スー『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』読者からの感想が届きました!④
『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(ジェーン・スー)
ジャンル :
#随筆・エッセイ
ジェーン・スーさんが13人の女性たちにインタビューした『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』。感想キャンペーンにご参加いただき、本書をいち早く手に取ってくださった読者の皆さんからの熱い感想をご紹介します。
自分の背中を押すきっかけになれば―。この本を読んでみたいと思ったのは、そんな一縷の望みからだった。さあ、ページをめくって!の言葉に誘なわれ、私は夢中で読み耽った。
結婚を機に14年続けた仕事を退職し、夫の故郷の片田舎に移住したのが昨年夏。知り合いゼロ、ほぼ家族だけで送る生活の窮屈さ、“町医者の妻“という付属品のような自分。恵まれた環境だと理解しているのに、自分が自分でなくなっていく感覚に苛まれ、幾度となく涙した。
これが望んでいたこと? 全部取っ払ったら私は何がしたい? 自分ととことん向き合い、やりたいことを思い起こした時にこの本と遭遇した。
最も印象的だったのは、彼女たちがみな、自分を好きでいたい自分の人生を生きたい、ともがいていたこと。どこにでもいる等身大の女性。だからこそ、13のストーリーが自分事として心に響いた。
まずは仕事に悩む親友にこの本を紹介したい。よく生きる為のヒントが、彼女にもきっと見つかるはずだから。(30代・女性)
すごい人は住んでいる世界が違うと思っていた。小さい頃から何をするにも人より進めるのが遅い私にとってそれが常識だった。
30歳を過ぎて、人生の経験値を積む間に違うと気づきはじめた。周りにいるすごい人たちは何か特別な方法を持っているのではなく目の前のことに真摯に向き合って、悩みながらも進んできた人なんだと。その人達が具体的に何をやって来たかはわからない。本音を言えば別の世界の住人のままでいて欲しかったので知りたくないことでもあった。
この本に出てくる方達は、環境も性別も私と重なる人はいないけれど、地道な自分と他者との擦り合わせだったり、自身を貫くための努力だったり、程度は違えど、今の私でもやっていることだったり、取り入れられそうなことだった。ただ、それをやるのは正直しんどい。ネットでキラキラが溢れている中では忍耐力が必要だ。
しかし、この本に出ている素敵な方達がそのことを続けることで得られる物を体現している。それは男性の私からみても、人として目指したい姿だった。
私のような人にはこの本は希望の書になると思う。ぜひ様々な性別、年代の人に読んで欲しい。(30代・男性)
登場する13人の女性たちは、昨今よく聞く「自己肯定感」が高い人ばかりではない。むしろ低い人ばかりということに驚いた。時代を切り拓いてきたパイオニアたる彼女らは常に高い自己肯定感に裏打ちされて生きてきたのだと思っていたから。
時代が求める自分の姿とのギャップ、自分が生み出したものへの世間の低評価、母親の言葉、それぞれに悩んで傷つく姿と相似形の姿を読み手の私自身の物語の中にも見出すことはできる。
でも彼女らがそこから脱して、新しいステージに向かうことができたのは、自分の幸せ軸をぺたぺたと丹念に確かめる強い自尊感情があったから。いまの自分に対しての自己肯定感は低くとも、自分をどうしたら幸せなところへ連れていけるか、問いかけ、考え、行動に移す粘り強い意志の力が彼女たちをいまの居場所に導いたのだなと知ることができた。
彼女らが自分自身に蒔いた幸せの種が、ぶわっと自分の心にも蒔かれたような読書体験だった。(40代・男性)
ジェーン・スーという人は、鋭い観察眼を持っている。紡がれる言葉はインタビューする相手への尊敬と愛で溢れている。そして素を掘り出す天才だ。
生きていくには時に鎧を被り、突き進む。1人の人間として譲れないものもある。TVや雑誌できらきら輝く女性たちは、私が思うよりずっと努力を惜しまない。美しい女性(ひと)たちは諦めない。自分を認め、自分の居るべき場所を自らの手で掴む。何と清々しいのか。颯爽と歩く13人の彼女たちが目に浮かぶ。
この本は、これから社会に出る娘にも勧めたい。それだけたくさんのヒントが詰まっている。
さぁ進め、女性たち!(40代・女性)
13名のインタビューを通して、一筋縄にはいかない人間の成功が、どのように身を結んだのかが描かれている。才能や努力に加え、女性ならではのしなやかさや胆力、他者との関係を重んじる姿勢が大きく寄与していることが分かる。
著名な方ばかりなのに、初めから自信がある人は多くない。こんなに成功しているのに、と驚くことすらある。これはもう、多くの女性の性質なのかもしれない。自信はなくとも自分を信じたり、信念を曲げずに続けたり、最大限の出来ることを積み上げていく。それを続けることで見える景色が変わるのだと教えてくれる。
インタビュイーの心理を、温かな眼差しと膨大なインプットによる裏付けで、読者に伝えてくれる筆者の人間力も感じられる。決して難しい文章ではないのだけれど、日本語という言語の豊かさを感じられる表現も楽しめる。
パワフルな実例によるエンパワメントと、多くの女性が自身と重なるであろう、女性特有の性質を知ることで生まれる諦めのような安心。このふたつを両方提供してくれる、稀な一冊だと感じた。(30代・女性)
幅広い年齢層の女性著名人へのインタビューや、それ以外の情報からの著者の分析により複数世代の女性の一人の人間として、一人の女性として、の生き様を深く知ることができた。自身は登場人物の中間世代のため、共感する箇所と新たに知った箇所が混ざっており、その混ざり方も個人差が出るのだろうと非常に興味深かった。
時代が流れ、女性の労働人口や平均所得が増える一方でジェンダーレスの考え方やワード先行型の取組みが加速し、そのバランスが個人に依存されるため、女性を盾にした発言や行動が非常に難しくなってきていると感じる。
性別の自由が許容される中で、女性ならではの悩みを相談する環境が減ってしまう不安を漠然と抱えている若者世代も少なくないのではないだろうか。解決策は一つではないが、著書のような形で意見を知ることができるのは一つの解決策になりうると私は思う。
プル型コミュニケーションのインターネットでなくプッシュ型コミュニケーションの本や雑誌での情報発信のメリットを活かし、今後も性別、年代、国籍問わず幅広いジャンルの率直な人生観や価値観の変化を発信いただけることに期待したい。(40代・女性)
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