- 2023.03.29
- コラム・エッセイ
東京、京都、大阪……アートフェアを巡り日本のアート市場を考える
透明ランナー
透明ランナーのアート&シネマレビュー「そっと伝える」
出典 : #WEB別冊文藝春秋
3月! 春ですね! 春といえばそう、アートフェアです!
アートフェアとは、複数のアーティストやギャラリーが一堂に会して作品の売買を行うアートの見本市です。アーティストやギャラリーにとっては自身をアピールする場、コレクターにとっては市場の動向を探る場となりますが、一般客にとっても気軽にアートを購入できる場として楽しむことができます。
2023年3月10日(金)~3月12日(日)、日本最大級のアートフェア「アートフェア東京」が東京国際フォーラムで開催されました。年に一度の国際的アートイベントであるアートフェア東京、私は高校生だった2008年から毎年(コロナ禍で中止された2020年を除いて)訪れています。
一方で2023年2月、新たなアートフェアが産声を上げました。その名は「EASTEAST_TOKYO」。都内の若手ギャラリスト・若手作家が中心となって企画された熱気あふれるアートフェアです。
アートフェア東京と同じ3月の週末、2022年から始まった「日比谷OKUROJI ART FAIR」も開かれました。JR高架下のスペース「日比谷OKUROJI」で行われ、無料で入場でき、ギャラリストと来場者との距離が近いイベントです。
アートフェアは東京だけで開かれているわけではありません(これは重要なことです)。私はアートフェア東京に行ったその日の夜に大阪に向かい、2023年が第1回となる「オオサカアートフェスティバル」を観に行きました。その一週間前には京都で、2018年に始まった「ARTISTS' FAIR KYOTO」が開かれていました。
コロナ禍、円安、NFT、新興国の経済成長、一般向けアート市場の拡大……などなど、アートを取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。それに伴いアートフェアの意義も刻一刻と変化しています。今年のアートフェア東京でもNFTコーナーが設けられていました。
というわけでこの記事では、2023年2月~3月に開かれた5つのアートフェアを巡りながら、日本におけるアートフェアの意義について考えてみたいと思います。(本文中写真は透明ランナー撮影)
EASTEAST_TOKYO
アートフェア「EASTEAST_TOKYO 2023」行ってきました。とにかく人が多くてびっくり! アートに関心ある同世代普段どこにこんなに隠れてるんだろうと思うくらい賑わっていました。大成功みたいでよかったです pic.twitter.com/nwexa0zoY5
— アナスタシア/透明ランナー (@toumeir1) February 19, 2023
このツイートが行った直後の感想ですが、まさにこんな感じでした! 今回が第1回なのでどんな感じになるかなと思っていたのですが、どのエリアも人で溢れ、予想を上回る大盛況でした。作品の売買に加え、ライブパフォーマンス、DJイベント、トークイベントなどがほぼ一日中行われ、フード&ドリンクの店舗も出店していました。
日動画廊やタカ・イシイギャラリーといった名だたる名門が並ぶアートフェア東京に対し、「EASTEAST_TOKYO」は都内を中心とした約25の新進ギャラリーにフォーカスした新しいイベントです。
その中のひとつ「PARCEL」は、2019年に中央区にオープンしたばかりのギャラリーです。立体駐車場を改装して作り上げた空間で、中は独特な階層構造になっています。
PARCELを立ち上げたのは武田悠太(たけだ ゆうた、1984-)。日本橋の繊維問屋街で約70年続く衣料品問屋「丸太屋」の4代目です。慶應経済→アクセンチュア→実家の老舗という経歴を歩んできた彼は、アート業界に新しい風を吹き込もうとギャラリー業界に参入しました。
私は2021年に彼と話したとき、「日本の若手アーティストを世界に売り込むためには既存のアートフェアに風穴を開けなければいけない」と、具体的なビジョンと共に熱く語ってくれました。そのときの情熱がこのような形で結実したんだなあ……と感動しきりでした。
「EASTEAST_TOKYO 2023」で印象深かった作品。佐宗乃梨子さんの《YOUTOPIA》。ゾンビや神話などをモチーフとしたステンドグラス。藝大博士展2020にも出品されてた大作。東京藝術大学大学院博士後期課程彫刻研究領域出身の作家。PARCELブース。 pic.twitter.com/gsdJybNn1d
— はむぞう (@hamuzou) February 18, 2023
トークイベント会場の座席の位置も特徴的で、講師が一方的に話すのではなく、参加者が車座になって向き合う配置になっています。企画側の明確な意志が感じられてこういうのは好きです。
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