9月30日、京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)さんにて「八咫烏シリーズの中の『賀茂神話』」と題して講演をさせて頂きました。
『玉依姫』や『弥栄の烏』を読んで下さった方にはお分かりの通り、八咫烏シリーズは賀茂神社と非常にかかわりの深い作品です。現在進行形で信仰の対象となっている実在の神さまの名前をファンタジー小説に取り上げることには少なからず葛藤がありまして、初めてお参りした際には挨拶をすると同時に、「三柱の神さまのお名前に恥じない作品を書きますので、どうかお許し下さい」とお願いをしたものでした。
今回、下鴨神社さんから講演のお声がけを頂き、賀茂の神さまにようやくお許しを頂けたような気持ちになりました。
もろもろ親切にして下さった関係者の皆様、わざわざ足をお運び下さった皆様、本当にありがとうございました。
しかし今回の講演会、もともとは8月15日に開催予定でした。
私は結構旅行の際に天候が崩れてしまうことが度々ありまして、特に学生時代は友人達から雨女疑惑をかけられていました。
京都旅行では台風が直撃して新幹線が止まってしまい、かろうじて運行していた深夜バスで群馬まで戻りました。大阪・兵庫旅行では雪が降り、有馬温泉で「雪見温泉だ~」とはしゃいでいたら地元のほうが大雪に閉ざされてシンプルに帰れなくなりました。そして出雲旅行に行った際は再び台風が直撃して寝台特急が止まってしまったのでした。
列記してみると3件中2件は雨というか台風ですし、残りの1件も雪ですね!?
そう考えると別に雨女ではないのではと思うのですが、とにかく今回の講演も台風7号が京都に直撃してしまい、延期せざるを得ない状況になってしまったのです。下鴨神社さんが2日前に早々に延期の判断を下してくれたので私は助かりましたが、参加を予定されていた方の中には、すでに家を出てしまっていた方もいたと伺いました。天候ばかりはどうしようもないと分かってはいるのですが、せっかく来ようとして下さったのに本当に申し訳なく思います……。
そして日程変更後もわざわざ予約を取り直して下さった皆様、重ねて御礼を申し上げます。
不幸中の幸いというべきか、日程が変わったことで下鴨神社さんの名月管弦祭にも伺うことが出来ました。神事のほうにも少しだけ参加させて頂きまして、本当に恐れ多く、ありがたいとしか言いようがありません。
この経験を活かし、今後も賀茂の神さまに恥じない作品を書いて参りますと、決意を新たにした京都訪問となりました。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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