- 2024.05.09
- 読書オンライン
祝!劇場版『鬼平犯科帳 血闘』公開。親子で「鬼平」を演じた松本幸四郎、市川染五郎。時代劇だからこその「人間らしさ」を感じてほしい。
「文春文庫」編集部
『鬼平犯科帳』(文春文庫)が新キャストで蘇る。
出典 : #文春オンライン
生誕100周年を迎えた池波正太郎さんの代表作『鬼平犯科帳』が新キャストで蘇ります。劇場版「鬼平犯科帳 血闘」(5月10日公開)において、親子で鬼平を演じる松本幸四郎、市川染五郎に連続インタビュー。二人に時代劇、エンターテイメントへの思いを聞いた。
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松本幸四郎
「池波作品のヒーローを全力で体現することに徹しました」
祖父・松本白鸚、丹波哲郎さん、(萬屋)錦之介のおじさん、叔父・中村吉右衛門が演じてきた鬼平・長谷川平蔵を演じられることは、僕にとって、プレッシャーというより幸せです。叔父と同じ撮影所で演らせていただきましたが、使用した衣裳や小道具が綺麗に保存されていて、僕も使わせてもらいました。〈新たな鬼平〉を誕生させるのが使命ではあるけれど、何十年と鬼平にかかわっていらっしゃるスタッフの方々はじめ、ここまでの積み重ねがあるからこそ今の時代の鬼平犯科帳を生み出せる。池波先生の原作、大森寿美男さんの脚本と山下(智彦)監督の世界を体現することに徹しました。『血闘』で「人並みって、人じゃねえか、お前も俺も、このおやじも……な」という有名な台詞を平蔵が口にしますが、説教じみてはいけない、平蔵自身が生きてきて強く感じていることが、己れを卑下する人々に対する言葉になった、という気持ちで大事に演じました。
江戸時代は、人が人と会わないと、何も生まれない時代です。情報を得るにも、困った時も、喜んで騒ぎたい時も、人が人の所に行かなきゃ出来ない。生きていくには人とつながるしかなかった、人間らしさというものを感じてもらえることが、僕は、時代劇の良さだと思います。『血闘』では、登場人物が後ろ向いたり下を向いたりしていても、そこに必ず誰かがいる。息子と共演して刺激を受けたこと? 若いっていいな、という(笑)。あと、意外と殺陣がよかった(笑)。
市川染五郎
「若き日の銕三郎が大好きになりました。また演りたいですね」
父・幸四郎が演じる長谷川平蔵の若い頃、〈本所の銕〉こと銕三郎を演じさせていただいて、大好きな役になりました。真っ直ぐで純粋。「自分はこれだけはしない」「この人と約束をしたから、それは絶対にしない」という、芯がしっかりとある人。だから家に居場所がなくても、悪の道に行かなかったのだと思います。殺陣は好きです。『血闘』で1箇所、銕三郎が殴り込みに行くまでを、長回しで撮ったシーンがあって、一発勝負で緊張しましたが、「出来たらかっこいいだろうな」という思いで必死にやりました。現場で、父の殺陣の稽古を見て、参考にもしました。歌舞伎の殺陣とは違い形の美しさより、腰のおとし方とか、あちらから人が斬りかかってきたらこう受け止める、といったリアルさを表現することを意識しました。そして、殺陣が映画全体のお芝居の中で浮いていてはいけない。何のために、誰のために戦っているのかを、常に考えながら演じました。
歌舞伎では自分で顔を作ります(化粧をする)が、映画ではメイクさんに基本的には全てお任せします。今回は、ギラギラした印象を作りたかったので、目元のメイクについて色々と相談させていただきながら役を作っていきました。
舞台でも映像でも、照明を見るのが好きです。この色の照明をあてるとこう見えるのか、とか。今回の「鬼平犯科帳 血闘」は、照明がすごい。スクリーンの中の空間に入り込んだような気持ちになりますよ。
劇場版「鬼平犯科帳 血闘」において、親子で鬼平を演じた松本幸四郎、市川染五郎のインタビュー&特撮写真が掲載された「リーフレット」が、4月9日発売の下記、文春文庫3作品(初版のみ)に同封されています。
澤田瞳子『星落ちて、なお』/逢坂剛『平蔵の母』/原作・夢枕獏 映画脚本・佐藤嗣麻子『陰陽師0』を購入して、幸四郎、染五郎の共演をご覧ください。
INFORMATIONアイコン
劇場版『鬼平犯科帳 血闘』
2024年5月10日(金)公開
山下智彦 監督作品
出演
松本幸四郎
市川染五郎 仙道敦子 中村ゆり 火野正平
本宮泰風 浅利陽介 山田純大 久保田悠来 柄本時生/松元ヒロ 中島多羅
志田未来 松本穂香 北村有起哉
中井貴一 柄本明
劇場版「鬼平犯科帳 血闘」公式ホームページ
https://onihei-hankacho.com/movie/
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