- 2024.04.24
- 特集
編集長が語る【オールの讀みどころ】 2024年5月号は大人の推理小説大賞と有栖川有栖トリビュート企画発進!
文:「オール讀物」編集部
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
,#歴史・時代小説
「本の話」を読んでくださっているみなさん、いつもご愛読ありがとうございます! 「オール讀物」編集部の石井です。
5人の精鋭(?)でつくっている「オール讀物」の裏話、日ごろ編集部内で起きているよしなしごとについては、note不定期連載の編集部だより「オールの小部屋から」で(ほんとに不定期です。すみません)発信しておりますので、チェックしてみてください!
こちら「本の話」の月イチ連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、どんなところに力を入れたか、渾身の企画を紹介していきます。
というわけで「オール讀物」5月号。まずは今回が第1回となる「大人の推理小説大賞」決定発表です。
賞というのは知らないうちに存在していて、なんとなく続いているもの、というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、新たに“つくることのできる”ものなんです! 「オール讀物」編集部は、年1回の公募新人賞のほか、すでに刊行されている書籍を対象に、本屋さんが選ぶ「時代小説大賞」「大人の恋愛小説大賞」という2賞を主催しています。運営のお手伝いをしている賞に、高校生直木賞もあります。これらにまたひとつ(節操なく!?)新たな賞を加えたことになります。
栄えある第1回「大人の推理小説大賞」は、黒川博行さん『悪逆』(朝日新聞出版)に受けていただきました。選考にあたったのは、日本最強のミステリー書店員である宇田川拓也さん(ときわ書房本店)、栗俣力也さん(TSUTAYA)、三島政幸さん(啓文社岡山本店)の3名。激論の末、満場一致の受賞となりました。
「最近、松本清張みたいな書き手はいないの?」
オール讀物の愛読者でもある練達のミステリーファンからこう尋ねられたことが、「大人の推理小説大賞」を始めるきっかけになりました。昨今は(いささか乱暴な括り方であることは承知しています)特殊設定もの、ホラーやSF要素を含むもの、異能力をもつ名探偵が活躍するタイプのミステリーが多く書かれ、ベストテンに並んでいます。そういうチャレンジングな作品も好きだけれども、たまには刑事が靴底をすりへらして捜査するような、昔ながらの社会派推理小説を読みたい――。こう思っている読者の方は、案外多いのではないでしょうか。
黒川さんの『悪逆』は、そうした声に真正面からお応えできる、大人の、大人による、大人のための推理小説です。5月号には、黒川さんのグラビア&インタビューとともに、選考会の模様や「大人の推理小説」ブックガイドも掲載しています。『悪逆』とあわせて楽しんでいただけたらと思います。
同じくミステリ界のベテランに、デビュー35周年を迎えた有栖川有栖さんがいます。有栖川さんの記念すべき節目の年を祝って、有栖川作品を愛する気鋭の作家が参加する、トリビュート企画が発進します。その第1弾が、一穂ミチさん「クローズド・クローズ」。一穂さんが、火村と作家アリスの謎解き世界を描いてくれました。
他の作家が、有栖川さんの生み出したキャラクターや世界設定を自由に使って小説を書いたらどうなるのか? 私自身、まったく予想がつかないこの企画。一穂さんの作品を皮切りに、これからどんどん新作が登場する予定です。今後の展開に乞うご期待! 企画のスタートを言祝ぎ、有栖川有栖さんと一穂ミチさんの記念トーク「私の中の火村とアリス」も掲載しております! こちらでトリビュート企画に参加予定の作家のお名前も発表していますので、ぜひお手にとって誌面をご覧ください。
先日、『八月の御所グラウンド』で第170回直木賞を受賞された万城目学さん。早くも受賞第1作となる「三月の局(つぼね)騒ぎ」(前編)が登場です。うだつのあがらない大学生の夏休みを描いた受賞作に続き、今回も舞台は京都。いっぷう変わった学部生専用女子寮が描かれます。2001年、近いようで遠く、遠いようで近い古都の学生生活――。万城目さんの筆さばきをどうかお楽しみに!
陰陽寮の学生(がくしょう)時代、若き安倍晴明を描いた映画「陰陽師0」が大ヒット上映中です。映画公開を記念し、グラビア企画「見る『陰陽師』食べる『陰陽師』」ほか、夢枕獏さん陰陽師最新作「ひもひめ」、木下昌輝さん「道満の送り火」、武川佑さん「首二ツ」と、豪華陰陽師競作をお届けします。
連休明けに公開を控えているのが劇場版「鬼平犯科帳 血闘」。親子で鬼平を演じる松本幸四郎さん×市川染五郎さんにご登場いただいて「荒ぶるシン鬼平」を語ってもらったほか、〈時代を描く人気シリーズ〉として、朝井まかて、高瀬乃一、遠田潤子、織守きょうや各氏の新作を掲載しています。
「大人の推理小説特集」では、赤川次郎、石田衣良、大山誠一郎、長岡弘樹、五十嵐律人各氏の新作読み切りに加え、佐々木譲、中山七里、真山仁さんたち“大人の連載陣”も重厚な布陣。
さらに「大人の新連載コラム」として、TBSテレビ「クレイジージャーニー」でもおなじみの危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスさん「無法者(アウトロー)たちの晩餐」が始まります。第1回は「工藤會との会食」。こわいのでこれ以上は内容に言及できません……。
コラムと言えば東海林さだおさん「晩年を生きる」は「男の分別学」史上に残る傑作です! 小説からコラムに至るまで、とにかく楽しい1冊になった「オール讀物」5月号をどうぞよろしくお願いいたします!
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