- 2024.09.24
- 特集
「尊さやユーモアがふんわりと広がる心安らぐ物語」「本当に良い読書体験」朝倉かすみさん最新刊『よむよむかたる』が広げる、あたたかな感動の輪。
『よむよむかたる』(朝倉 かすみ)
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
『平場の月』『にぎやかな落日』など数々の作品で鮮烈な印象を残す朝倉さん。9月19日に発売されたばかりの最新作『よむよむかたる』は、自身の母の参加する「ちいさな集まり」に着想を得た心温まる小説です。
喫茶シトロンに毎月集まるのは、下は78から上は92歳までの6人の老人たち。本を片手に「ヤァヤァ、どうも、どうもでした」と集まれば、思い思いに本を朗読し、感想を述べあう。仲間の声に耳を傾け(傾けないことも多々)、自由で和やかな(時に剣呑な)時間が流れてゆく――。
そんな読書会を巡る新刊には、発売前に見本版を読んでくださった書店員さんから反響が続々。全国から届いた感動の声をお届けします!(第1回/全10回予定)
ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
経験を経て年齢を重ねた人たちにとってのはりあいの読書会。次の会のために用意しなくてはとか、そんなみんなの時間と自分の時間がつながるのが、眩しくて、嬉しい。隠れていた素の自分を読書会の中で発見し、もともとの自分になれる。誰に遠慮するでもなく、誰に意見するでもなく、自分の素直な気持ちをありのままに話す。若い人がその中で参加するのは、風がふき、本当に微笑ましい。読書会で人とふれ合うことで、安田も素の自分を見つけて、もともとの自分に戻ってゆく。人生は読書とつながっている。読書は人とつながり、素の自分をとりもどさせる。
啓文社岡山本店 三島政幸さん
朝倉かすみさんの小説のファンとして、純粋に楽しく読んだ。老人だらけの読書会のリアリティもさることながら、主人公の安田の存在感と、井上さんの関係性が絶妙。読者は分かってるのに当人が知らない事実が明かされる最終章がグッと来た。いい小説だった。
紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
古民家カフェ「喫茶シトロン」で行われる、月に一度の読書会「坂の途中で本を読む会」
70代から90代が集う読書サークルでのやり取りが、ほのぼのとしていながらも、活気に満ちていて楽しく面白い!
そこに、20代の男性作家が加わることで、今までにない感情の化学反応が巻き起こる。
世代が違うからこそ見えるもの、知る事ができる尊さやユーモアが、ふんわりと広がっている心安らぐ物語。
それぞれが、語り合う中で芽生えた新しい感情に、胸に穏やかな優しさが広がりました。
読後も、みなさんの朗らかな笑い声と、楽しい会話が聴こえてきそうです。
こんな素敵な読書会、本当にうらやましいです!
私も参加したくなりました!
田村書店吹田さんくす店 村上望美さん
とても、とても良いお話でした。
朗らかで、おかしみがあって、あたたかくて、前向きで。
辛い感情や悲しい過去を現在進行形で織り込みながらも、それでもとても優しく愛らしい物語。そう、とにかく愛らしかった。読書会のメンバーも、主人公も、井上さんも、その他みんなも、出てくる各種おやつも、小物に至るまで、愛らしい。みんな困ったところもあるのに、生き生きとしていて楽しそうで、ああそもそも「生きている」って、愛らしいことなんだなと、そうすとんと気づけた、本当に大好きなお話です。
愛のカタチは人によっていろいろでしょうが、読書会のメンバーにとっては本のカタチだったのかなとか、井上さんと主人公の距離感が素晴らしいなぁとか、読み終わった後も彼らに対してほっこりと思い出せるのが、とても嬉しい。本当に良い読書体験でした。
AKUSHU BOOK&BASE 石田美香さん
これだけ高齢者ばかりの登場人物だと誰かは亡くなるのではないか、そんな心構えをしてしまったので、ここはあえて誰も亡くならないまま……というのもいいんじゃないか、と思ってしまった。この会を、このメンバーのやりとりをずっと見ていたかったから、という理由もある。
でも、死というものが悲しいもの、泣かせるものとして描かれていなかったのがよかった。
ありのまま、そのまま、必ず訪れるその日があることをただ受け止めておきたい。
人はみんな老いる、そして好きなように生きていたって何かしらの傷がある。
よむよむかたる、傍に本があり、人がいる。すごく幸せなことで、そう描かれていたことが本当に嬉しかった。
また、安田の心のツッコミがいいアクセント。この懐の広さというか、心の広さって今の時代に貴重なものだと思う。
TSUTAYAサンリブ宗像店 渡部知華さん
大切で尊い時間、生き甲斐、なくてはならない大切なもの……いろんなものが詰まっていて、愛しさで胸がいっぱいになりました。
読書会ってすごいですね。坂の途中で本を読む会のみなさんは、声に出して、思いを巡らせて言葉にして、噛み砕いて……そんな風に一冊の本と真摯に向き合っていく。羨ましいほどに楽しそうで、幸せな時間だろうなと、あたたかい想像が止まりません。
やっくんも言っていたように、読書はひとりでするものだと思っていたが、そうとは限らないかもしれない。本当にその通りだなと。
私もこれからの人生のどこかで、こんな集まりに参加できたらいいなぁと、わくわくしてきました。
そして、坂の途中で本を読む会のみなさんに出会って、私にも「いい人成分」が投与された気がします! 効果が長く続きますように! 笑
あと、マンマのエッセイに出てきた言葉で、「その人でしかなさ」。すごく気に入ってしまいました。
他にも心に残る言葉や文章がたくさんちりばめられていて、これは何度も読みたいなと思いました。素敵な作品をありがとうございました!
未来屋書店発寒店 宍戸和美さん
読書会を通じて語られる老人たちの人生から、自分の内面を見つめる若者……
というある意味ステレオタイプなイメージで読み始めてしまった事を大反省。
読み終えて残るのは、死の影。一見自由気ままに見える彼らが “死神を待っている” かのように思える、心がすっと冷え込むようなシーンには、深く感動しました。
(個人的な事ですが、私にとって馴染み深い町が舞台という事で、読んでいる間テンション上がりっぱなしでした。文学館は大好きな所です!)
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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