両陛下は「雑談」の妙を楽しまれたに違いない
「保阪君、雲の上の人に会う気はあるか」
故・半藤一利氏にそう声をかけられたのをきっかけに、筆者は2013年から2016年の3年間で6回も、天皇、皇后両陛下(現上皇、上皇后)に御所にお招きいただき、それぞれ数時間にわたる「雑談」を、都合20時間以上重ねた。
近現代史を研究してきた筆者にとって、両陛下のお話は歴史の機微に触れる、まことに貴重な証言であったのと同時に、いずれ編まれるであろう平成の天皇実録の史料として、この雑談の記録を残しておくよう、侍従長であった故・渡邉允氏に強く勧められたこともあって、「文藝春秋」2023年1月号、2月号の2回にわたってこの懇談録を執筆した。
これに、2015年5月号掲載の渡邉侍従長との対談、2018年9月号掲載の川島裕侍従長との対談を合わせて、平成の天皇、皇后両陛下の、常に歴史と国民に向き合われてきたお姿を記録したのが本書である。
「日本にはどうして民主主義が根付かなかったのでしょうね」
「石原莞爾はそういうところ(田中メモランダムの執筆)でも関与しているんですかね」
など、公式の場面では絶対に出てこない陛下のお言葉は、昭和、平成の2代の歴史の重みを自然と感じさせる。
両氏が御所にお招きいただいたのは、ちょうど陛下が「生前退位」をお考えになっていた時期でもあった。
歴史の大きな節目に関わった、歴史研究家による貴重な記録が本書なのである。
発売ラインナップ (2024/11/10~2024/11/16)
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- タイトル
- 福田恆存の手紙
- 著者名
- 福田逸
- 発売日
- 2024/11/11
- 作品紹介
- 初公開! 100通の手紙が伝える、文学者の思考と息づかい
吉田健一・大岡昇平・Dキーンら文学者に、杉村春子ら演劇人に、教え子や友人に宛てて書かれた約100通の手紙を、次男が読み解く。
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- タイトル
- 小林旭回顧録 マイトガイは死なず
- 著者名
- 小林旭
- 発売日
- 2024/11/12
- 作品紹介
- 昭和100年、そしてデビュー70周年に向けて
日本人の心のヒーローがキャリアを語りつくす本格的回顧録。「渡り鳥」シリーズなど映画黄金時代の貴重なスチール写真を収載。
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- タイトル
- 平成の天皇皇后両陛下大いに語る
- 著者名
- 保阪正康
- 発売日
- 2024/11/12
- 作品紹介
- 両陛下は「雑談」の妙を楽しまれたに違いない
平成25年から28年までの3年間に6回、20時間以上にわたって行われた両陛下との懇談の記録。きわめて貴重な両陛下の肉声。
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プレゼント
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『皇后は闘うことにした』林真理子・著
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応募期間 2024/11/29~2024/12/06 賞品 『皇后は闘うことにした』林真理子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。