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【試し読み】本屋大賞受賞! 瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』第3回

文: 瀬尾 まいこ

2019年本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ 著)の冒頭を公開します。
第1回第2回


『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ 著)

「変なことばかり言ってないで、優子ちゃんも冷めないうちに食べなよ。それに、考えたらさ、意地悪な人と結婚して不幸なのは優子ちゃんより、俺なんじゃない?」

 森宮さんはそう笑った。

「そっか。でもさ、私にとったら継母だから、森宮さんには優しくても、私にはひどいことするに決まってる」

「そうかなあ」

「そうだよ。私が邪魔なはずだもん。継母だよ、継母」

 たぶん、継母は私だけおかずの品数減らしたり、私の大事なものを隠したりするのだ。そのうえ、馬鹿とののしり、お前さえいなければとなじるのだ。そうなったら、なんて私はかわいそうなのだろう。これは、周りが喜んでくれそうなタイプの不幸だ。

「継母継母って、梨花だって継母だろ」

「へ?」

 森宮さんが言うのに、私は首をかしげた。

「血がつながっていない母親は、みんな継母だ」

「あれ、そうなんだ」

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そして、バトンは渡された瀬尾まいこ

定価:本体1,600円+税発売日:2018年02月22日


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