
- 2025.08.04
- インタビュー・対談
【祝! デビュー10周年】額賀澪さん最新作のテーマは「天才」。「才能を持つ人間は意外とたくさんいる」!?
額賀 澪
出典 : #文春オンライン
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
24歳のときに『屋上のウインドノーツ』でデビューして以来、青春や音楽、スポーツにお仕事に......幅広いジャンルの作品を生み出してきた額賀澪さん。デビュー10周年の節目に選んだテーマは「天才」です。
史上最年少でプロ入りした中学生棋士、マカロンの味を知らないかつての「氷上の妖精」、歌のオーディション番組に彗星の如く現れた天才中学生……。
天才と、幸か不幸かその才能の傍に居合わせることになった“観測者”たちを描く『天才望遠鏡』の読みどころをたっぷり伺いました。

◆◆◆
「才能がある人」と「天才」の違いは
――タイトルにもある通り、今回のテーマは「天才」。なぜ、天才の姿を描こうと思われたのでしょうか。
きっかけは担当編集でした。文芸誌から短編を依頼され、「この作品を第一話とした連作短編集を目指そう」ということになり、短編集を貫く「天才」というテーマを提案してもらったんです。スポーツや音楽を題材に、「天才」とされる人を何度も書いてきたので、改めて「天才とは?」という問いに向き合ってみようと考えました。
――「望遠鏡」にはどのような意味が込められているのでしょうか。
収録作を書きながらつくづく思ったのは、「才能を持つ人間は意外とたくさんいる」ということでした。じゃあ「才能がある人」と「天才」の違いはなんなのか。結局は「世間が天才として認識=観測したか否か」だろうと思ったんです。「天体観測みたいにさまざまな天才を見つめる短編集」として、「望遠鏡」をタイトルに入れました。

――額賀さんといえば青春、スポーツ、音楽、お仕事……と幅広いテーマで執筆されてきましたが、『天才望遠鏡』はそれらすべてが詰まっているとも、逆に新境地たる作品とも言えると感じます。本作に込めた想いをお聞かせください。
長編を書き上げると、ときどき「あー、辿り着いた」と思える作品があります。そういう小説は、周囲の評価や売上など関係なく特別なんです。『風に恋う』や『沖晴くんの涙を殺して』がそうでした。『天才望遠鏡』の最終話「星原の観測者」を書き上げたとき、天才をめぐる物語としてどこかに辿り着けたなと思ったんです。これからの作家生活でときどき振り返る特別な一冊になるんじゃないかと思います。
――今年でデビュー10周年を迎えられました。これまでの作家生活を振り返って、どのようなお気持ちですか?
あっという間で、楽しい時間でした。出版業界は年々厳しくなるし、10年後も作家をやっているかわからない。ただ不思議なもので、本が売れないのも仕事が大変なのも将来が不安なのもひっくるめて、小説家でいることは楽しいです。作家生命が続く限りは楽しく働いてやろうと思います。
――読者の方へのメッセージをお願いします。
私にとって特別な一冊になったので、『天才望遠鏡』を多くの方に楽しんでいただけたら嬉しいです!
-
本が苦手だからこそ必見…映像から短編まで「読書感想文」を攻略する3つの裏ワザ
-
「ちょっぴりビターな感動青春小説」「これまで額賀先生が描き続けてきたものがぎゅぎゅっと詰まった」額賀澪さんデビュー10周年記念作『天才望遠鏡』は、一筋縄ではいかない大人な読み味。
-
「藤井聡太の最年少記録を破る天才中学生が現れた――」額賀澪さん最新作『天才望遠鏡』を書店員さんはこう読んだ!
-
「5本の美しい短編映画を見たような読後感」額賀澪さんデビュー10周年記念作『天才望遠鏡』の世界へようこそ。
-
【アーカイブ映像公開】村山由佳『PRIZE-プライズ-』×額賀澪『天才望遠鏡』オンライントーク
-
「読後にやさしい余韻と希望を」「努力してもいいんだと背中を押された」額賀澪さんデビュー10周年記念作『天才望遠鏡』は、大人を原点に立ち返らせる青春小説!
提携メディア