もう一つ、ご覧になればわかるように、前記の数字は、以下の日本社会に蔓延する難しい諸問題ゆえに注目を集めている。
・女性の社会進出の難しさ。特に出産後に働く場がなくなる問題。
・言わずとしれた少子化と人口減少。女性に社会進出をしろと言いながら、産んで育てて働ける環境があるのか! という怒りをよく聞く。
・非正規社員の固定化。これは相対的貧困率を上昇させている。
・相対的貧困率の高まりは、厚生労働省が昨年公表した「子供の貧困率が6人に1人」という衝撃的な数字に繋がっている。これは教育格差の原因となる。
これらの問題を地味な県(失礼)がなぜ解決して1位になっているのか。
その仕組みを解き明かすために福井だけではなく、本書は大きく三部構成をとった。
まず「過去」。人口減少に陥るまでに何があったのか。霞が関の中央政府のインサイドストーリーだ。
次に、「現在」。地盤沈下に揺れる大阪、そして現状打破のコンパクトシティで世界から脚光を浴び、視察があとを絶たない富山市。
そして福井でよく聞く「一向一揆に負けましたから」という言葉通り、織田信長に負けて以来、福井は未来をつくるために、どんな工夫をしてきたか。
その答えには私も感動を覚えた。意外にも、優秀なリーダーや天才政治家がいたからではない。リーダーを動かす人々と、仕組みを構築してきたからだ。
やれ北欧のライフスタイルだ、アメリカの最新ビジネスモデルだと、豊かな暮らしや経済の成長モデルを日本人は海外から見習おうとしがちだ。しかし、そろそろモノサシを変えるべきではないのだろうか。ずっと昔から過疎化や貧困と闘ってきた人々がいて、どん底から這い上がった経験をもつのは、日本の地方なのだ。
その試みを解き明かそうとしたのが拙著『福井モデル 未来は地方から始まる』である。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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