- 2015.11.25
- インタビュー・対談
「ない仕事」を作るには。画期的ビジネス書(?)の登場(前編)
「本の話」編集部
『「ない仕事」の作り方』 (みうらじゅん 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名づけ親としても知られるみうらじゅんさん。テレビや雑誌でその姿を見ることは多いけれど、本業は何か? このたび上梓された本書は「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書です。
――今回の本は、デビュー35周年記念出版ということですが、そもそもどうやってデビューされたんですか?
1980年の2月号だったかと思いますが、『ガロ』という特殊なマンガ雑誌に「入選作品」ということで載せていただいたのを、自分の中では「デビュー」としています。ただ、『ガロ』を出していた出版社はお金がなくて、「原稿料は払わない」という強いポリシーをお持ちの会社だったもので、漫画が載っても原稿料をいただいていないんです。
結局、僕自身が「デビューした」と思い込んでいるだけで、世間的に言うと、お金をもらっていないことは単なる「趣味」ってことになりますよね。途中でお金をもらいつつ、ずーっと「趣味」のまんまやってきたら35年経っていた、ということだと思います。
――本の中で、「就職活動をした」という話が出てきましたが、みうらさんも長髪を切って、スーツを着て面接に行ったんですか?
僕は小学生の頃から「大ブーム」になったものがすごく苦手で、できればブームには乗りたくないと思いながらずっとやってきたんですけど、大学4年の初めくらいに起きた「就活ブーム」には乗ってしまいました(笑)。
うちは美術大学でしたし、僕も当時から髪を伸ばしていましたが、僕の長髪は、背中の真ん中くらいまでの「中長髪」だったんです。「大長髪」になると、和式トイレでは確実にウンコが付くくらい長いんですよ。大長髪の人は髪を切る気もないし、最初から就活なんてする気もないわけです。
僕は高校時代から、中流家庭で育ったということに悩んでいたんですが、僕のその“中途半端さ”が「中長髪」にも現れていて。そしてつい就活ブームの渦中に、髪を切ってしまいました。似合わないことをしたので、当然髪形も似合いませんでした。
それで友達とスーツを買って、音楽雑誌を出していた出版社の「シンコーミュージック」と、キャラクタービジネスの「サンリオ」の就職試験を受けに行ったんです。
シンコーミュージックは、「この会社に入ったら、外タレの写真がガメられたりするんじゃないかな」と思って、それを狙って行きました(笑)。サンリオは、小学生の頃から自分で考えていたキャラクターのグッズを出してもらおうと思って、面接でその話をしたんですが、「それは、自分で会社を作るなりして、やってください」とサンリオの方にはっきり言われてしまいました。
シンコーミュージックのほうは、当時「BLACK」という、ヘビーメタル専門のファッション店も経営されていて、「そこだったら、どうですか?」と言われたんですけど、「二浪までして美大に入って、なんでヘビメタの服を売らなくちゃいけないんだ?」と思って、翌日の二次試験には行きませんでした。
結局、自分に向いているところがなく、先方も僕のことは「いらない」と言うので、一度も就職をしませんでした。だから、社内恋愛とか、誰もいない会議室でキスしたりすることは、僕にはなくなったということで、しょうがなくここに至る、というわけなんです。
-
『皇后は闘うことにした』林真理子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/29~2024/12/06 賞品 『皇后は闘うことにした』林真理子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。