この頃、出産&育児体験者に会うと、
「今も大変だろうけれど、生んでからはね、やっぱまた大変だよ!」とか「お腹のなかにもどってくれって、思うよ~!」とか、「寝れないからね~、かけがえのない今の時間を、大切にしてね」といった話を笑いとともにきく機会がふえてきたのだけれど、「うん、きっとそうだよね」とは思いつつ、でもやっぱりこの臨月のしんどさを生きるのに精一杯で、どこかぴんとこなかったというか、線がいっぽんひかれているというか、わたしの感想は、そんなだった。みんなけっこう笑ってるし。
でも、結論から言って、妊娠の一年の苦労と、出産を経て育児の一年の苦労は、比較するのも無理というか、これもう、ま じ で 次 元 が 違 っ た よ 。ほんとうに、次元が違ったんだよ……(これについては今後じっくり&ゆっくりな)。
臨月のわたしは、そんなこと知るべくもなかったわけだけど、でもそれはなんだか神様からの妊娠期間の最後のギフトというか、そんなだったのかもしれない。これから味わうつらさ、しんどさのまえの、ひとときの甘いごほうびだったのかもしれない。「何も考えず、ぼんやりしてろよ、そういうのこれが最後だから……」っていう、そういうあれだったのかもしれない。とにかく頭もいい感じにぼーっとしていて、穏やかで、ときおりぐわっと真実味のある恐怖がおそってくることはあったけれど、それをのぞけばどんどん鈍くなってきており、干し芋なんかをくちゃくちゃベッドで息をするように食べながら、あまりにも頭がほんわかするので、「脳からなんか、そういう物質がでてるんやないやろか、ほえほえ」とさえ思うほどだった。こういう面も含めて、人というのは出産の準備に入ってゆくものなのかもともなってう、と、ぼんやり感心したりなどして。
さて、これまで妊娠生活の色々なことをたくさん書いたような、あるいは、まだまだぜ~んぜん、書き足らないような、そんな気持ちでいるのだけれど、でも、妊娠中の色々について──体のことも書いたけれど、とくにそれにともなって変化してゆく、精神や気分や心境についてが、やっぱり多かったように思う。けれども妊娠はやっぱり体の中で起きる一大事であって、ここで、わたしの体がこの妊娠期間中にどれくらい変わったか! ということをいちおう書いておこっかなーと思う。
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